2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 内田洋行 大久保昇社長
データ活用の支援を加速
デジタル技術で能力引き出す
これからは「人」と「データ」の時代になることを掲げた、第16次中期経営計画(2021年7月~)は今年度が最終年度になる。業務と教育の現場をICT構築と環境構築を組み合わせて支援する、「働き方変革」と「学び方変革」に取り組んできたが、時代の流れに合った対応ができる体制も整ってきた。今年はデジタル技術を使ったデータ活用の支援を加速させたい。
GIGAスクール構想の特需から2年が過ぎ教育現場でもICTの利活用を本格的に進める段階にきている。昨年は新型コロナウイルスも5類感染症に移行し、働く環境も新たな段階に入った。当社は新時代に向けICT基盤の強化とデータビジネスの拡大に向けた体制を整えてきた。
ICT機器の展開と運用ができるウチダエスコを完全子会社化し、グループでICTサービス基盤を活用できるようにしたほか、データ活用の領域で企業内外のデータ分析や活用に知見があるスマートインサイト社を吸収した。教育分野ではオープン・アセスメント・テクノロジーズ社を完全子会社化したため、今後はコンピューターテストシステムの開発で先導していく。
中計2年度目までにICT環境とデータ活用の領域での体制を整えてきた。今年度は新しい働く環境の構築を支援するためにエンタープライズエンジニアリング事業部を新設したほか、全国規模で公共や学校施設分野を支援している強みを生かし、広域施設事業部も設置。市場の要望に合わせて支援できる組織でスタートを切った。
働き方変革では新たに「人が主人公となるハイブリッド・ワークプレイス」を掲げた。執務空間や会議室でリアルとデジタルが有機的につながり、人が働く環境を自在にコントロールするもので、生産性や創造性を高めるオフィスの提案ができるとみている。
足元の環境はインボイス制度と電子帳簿保存法改正などの対応案件が出たほか、ネットワーク強化も進んだ。クラウド対応も増え全体では悪くない。構造改革の成果も出ておりGIGAスクール特需を除いた、当社自身の基盤となる事業(ベースライン)の底上げもできてきている。
24年はこれまで掲げてきたことが現実味を帯びる年になるだろう。デジタル技術でデータを活用し、中にいる人が能力を最大限引き出せるようにしていきたい。デジタルトランスフォーメーションもいよいよデジタルから、トランフォーム(変革)に移行していくため、確実に支援できるようにする。