2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 東芝情報システム 根本健社長
技術開発で新商材を提供
エンジニアリング事業維持・強化 人材確保に注力
当社は、2021年から組み込みシステムの事業会社として、組み込みソフトウエア開発と半導体設計を事業の柱として取り組んでいる。
23年度の業績は、半導体設計がメモリー需要回復が遅れて厳しい半面、自動車のEV化の大きな流れもあり組み込みソフトウエア開発が非常に好調だ。
24年度の市場環境も、半導体設計はまだ厳しく、自動車中心の組み込み系は、順調に推移するとみている。当社の強みとするパワートレイン制御、自動運転、先進運転支援などの車載分野や社会インフラ分野の堅調な伸びを見込んでいる。
これまで培った当社の強みを継承し、事業を成長させていくため、2本柱を強化する。一つは、エンジニアリング事業の維持・強化。当社は、半導体の設計から組み込みソフトウエアまで一貫して対応できる、国内でもトップクラスの組み込みシステム事業会社と自負しており、お客さまとの信頼関係、技術力、組織力を強みに、大規模で難易度の高いエンジニアリングを提供している。
こうしたエンジニアリング事業の維持・強化を図るため、特に人材確保に力を入れる。具体的には、大学と連携した共同開発、インターンシップ、女子大学生を対象としたエンジニア養成講座などを通じ、当社の認知度を上げ、採用活動にもつなげていく。
もう一つは、技術開発に伴う新商材の開発。東芝グループ研究開発のセンターで生み出された技術を使い、新たな商材を提供していく。同センターとの共同開発成果として、フラット面についた観測困難な微小傷を可視化できる技術を、東芝テリー社がこの1月から「表面深傷スコープ」として、量産機を販売開始する。この技術は、今後、ナノレベルの半導体製造工程など幅広い用途が見込まれる。
当社の研究開発のうち約3分の1は人工知能(AI)関連だ。AIなど先端技術を使ったサービスを強化していく。AI関連では、お客さまから預かったデータから大量の教師データを自動作成する「自動アノテーションサービス」をTTピーエム社と提携し一貫したサービスとして提供を開始。またLSIなどの検査工程で観測した波形特性の「自動判定サービス」を提供開始している。
24年度は、組み込みシステム事業の維持拡大を図るとともに、新商材開発、ライセンスビジネスを強化、事業領域を拡大させる。また、全社員がAIの知識を付け、業務効率改善につなげることにも積極的に取り組む。