2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 大塚商会 大塚裕司社長

インタビューに答える大塚社長

AI活用でDX化を支援
「オフィスまるごと」で成果

 2023年度は、上方修正した売上高9540億円の達成を目指している。顧客の声に耳を傾け課題を解決していく複合ソリューション提案が定着してきた。コピー機やパソコンの入れ替え時に、クラウドサービスも同時に勧めるなど、幅広い商材やサービスを生かして企業の課題を解決する「オフィスまるごと」の成果が表れている。

 24年のスローガンは「お客様に寄り添い、DXでお客様と共に成長する」。オフィスまるごとを進めるためにも顧客との信頼関係を築き、特需がなくても伸びる会社にしていきたい。

 昨年7月に、エリア大手を担当していた営業チームを「まるごとソリューションチーム(MST)」と名称変更した。名前を変えたことで営業力のある社員に、単品売りではなく幅広い商材を扱う意識へと変革したい。

 これまで別々の商材だった基幹系パッケージ「スマイルV2」と情報系パッケージ「イーバリューV2」を統合してデータベースを共通にした「DX統合パッケージ」は、クラウドとオンプレミス(社内運用)対応を両立した他にはないシステム。電帳法改正やインボイス制度対応へのニーズとマッチした。

 今後は人工知能(AI)を組み込み、蓄積された営業データを活用するなどサービスを進化させたい。電子化やペーパーレス化を実現して終わりではなく、業務プロセスを見直して生産性向上につなげるのが最終的な目的だ。

 オフィスサプライ通販事業「たのめーる」では、21年に開設した横浜物流センターが軌道に乗り、高い配送品質を維持している。人材不足が懸念される24年問題の影響も見極めていきたい。

 AI開発を手掛けるdotDataとの連携では、中小企業を中心に100社近くに導入が進んだ。導入企業から運用面での要望や課題などを聞き、2月ごろには活用ノウハウなどを一定の形で示したい。1月にマルチAI研究センターを立ち上げ、研究開発体制も強化する。

 19年から社内で実施しているAIを活用した営業支援では、営業担当と顧客の関係性がどんな状態にあるのか、案件化できたところからのヒット率などを数値化して、データを参考にしながら営業活動に反映させている。AIの示唆にはそれなりの根拠があり、営業社員全体に活用を広げている。

 このまま売り上げが伸びれば24年度の公表予算は売上高1兆円を超える。通過点ではあるが、1兆円企業にふさわしい会社に成長していきたい。