2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 NECネッツエスアイ 牛島祐之社長

DX、ネットワークなどの特徴を生かし総合力を発揮

 2024年度は22年度にスタートした中期経営計画「Shift up 2024」の最終年度。現中計ではデジタルトランスフォーメーション(DX)と次世代ネットワークの実装をはじめ、顧客との共創、自社実践のノウハウを展開し継続的に顧客の価値創造を図るリカーリング(継続型)モデルの構築を目指してきた。これまでの施策を再度精査し次期中計の立案に取り組んでいく。

 自社実践でのノウハウを生かしたコンサルティングやDXの実装に向けた取り組みは着実に実績につながってきており手応えを感じている。一方、5Gなどの領域は立ち上がりが遅れている印象だ。ローカル5Gは東京大学とも協業を進めており、今後不可欠になる無線ネットワーク構築で差別化したい。

 人材育成は順調に進んでいる。次世代ネットワーク人材やDX人材、コンサル人材も着実に増えてきた。社内技術者の育成だけでなく外部からの採用も強化しており、業界知識を持つ他業界からの採用も進む。今後もさらに強化する計画だ。

 20年に開設した日本橋イノベーションベースでの共創も拡大。業界内外の企業が価値創出に向け検討を進め、毎年100社単位で増えている。当社と顧客との共創だけでなく顧客同士での共創も増え、自治体や教育機関の参加も目立つ。最近はITとOT(制御運用技術)の連携が始まっている背景もあり、製造現場の働き方改革について検討する動きも活発だ。

 今中計で自社実践モデルの展開を推進してきたが、業界の異なる企業に対しては一部の課題解決にとどまっていた。そのため、顧客との共創による実践モデルの構築を今後拡大し、幅広い要望に応えたいと考えている。

 足元の事業環境をみると、DX関連は順調だがネットワークは国内キャリアの投資が厳しい。ただ、全体の受注は良い状況だ。24年度は中計で掲げた売り上げ、営業利益の計画達成には厳しさが残るが、売り上げは過去最高更新に向けて追い込む。併せて、社内システムを刷新する。SAPのフルクラウドシステムを構築中で、24年度下期に稼働予定だ。この規模でのフルクラウドシステムの経験を横展開できるようにしたい。

 次期中計に向けた準備も本格的に進める。当社は、中計最終年度に次期中計の助走を始める、実質4カ年計画で取り組んでいる。現中計での成果と課題を洗い出し、DX、ネットワーク、社会・環境という特徴をさらに生かして総合力を出せるようにしていく。