2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 日立システムズ 柴原節男社長

グローバル事業成長へ
サービス比率向上をめざす

 2023年度上期の受注環境は、昨年に比べて好調だ。IT投資の意欲は、金融や産業・流通など幅広い業種で上向いてきている。中でも製造業はモダナイゼーションが進んでおり、SAPのERP(統合基幹業務システム)を導入している企業が最新版の「S/4HANA」へ切り替える動きが広がっている。需要は旺盛で、年度を通して計画を達成できるだろう。

 22年度から業種横断的に営業活動を進める「Go To Market(GTM、市場進出戦略)」を展開しており、その成果が出てきている。

 公共分野では、25年度末までに「ガバメントクラウド」を活用した標準準拠システムに移行するという追い風が吹いている。公的医療保険などのシステムを開発してきた実績を持っており、こうした強みを発揮したい。多彩なラインアップで自治体の業務を支援するパッケージシステム「ADWORLD(アドワールド)」の展開にも力を入れていく。

 売り上げの伸長に合わせ、生産性の向上も踏まえながら、新卒と経験者、パートナー人材を拡充する。また、日立製作所が成長のけん引役と位置付けるデジタル事業「Lumada(ルマーダ)」の拡大に向けては、システムの運用・保守やセキュリティーを含むマネージドサービスに注力している。日立グループが「One Hitachi」となってルマーダを核に事業を回し始めており、その一翼を担いたい。

 当社は、生成AI(人工知能)を使った社内の業務革新に関するワーキンググループを23年10月に発足させた。社内業務を見直してAIの有効な活用策を探っている。

 昨年12月、生成AIの有効性を検証するパッケージ「おてがる生成AIパック」の提供を始めた。企業や自治体の業務のDXの一つとして生成AIを適用するビジネスが今後、広がっていくと思う。

 24年度は「2024中期経営計画」の最終年度となる。グローバル事業の成長とサービスシフトなどを目標に掲げており、その達成を目指す。

 サービス化を進めることで、さらに収益性を高めたい。当社の売上高に占めるシステム運用・保守サービスの比率は6割以上に達している。海外も含めたグループ全体のサービス比率を上げていきたい。

 さらに、削減した温室効果ガスをクレジット化して売買できるようにするカーボンクレジットの創出など、「グリーントランスフォーメーション(GX)」にも継続して力を入れていきたい。