2024.01.18 【情報通信総合特集】ICTベンダートップに聞く 24年の見通し・経営戦略 エプソン販売 鈴村文徳社長
「スマートチャージ」好調
環境負荷低減も積極取り組み
2023年のBtoBの市場環境は、コロナからの回復もあり、堅調に推移した。為替などの影響はあるものの、半導体の不足による製品供給面の課題も解消され、24年も堅調な推移が見込まれる。
エプソンは「環境ビジョン2050」に基づき、環境負荷低減に積極的に取り組んでいる。環境性能に優れたインクジェット複合機による「スマートチャージ」戦略を推進しているが、チャレンジ目標を上回り、予想以上に好評だ。お客さまを選定し、商品価値をしっかり訴求する営業活動が功を奏している。
「スマートチャージ」は、低速、中速、高速のフルラインアップをそろえ、圧倒的な環境性能を訴求している。かねて注力している文教分野では、全国の学校での導入が進み、先生方の働き方改革、教育の質の向上に貢献している。学校向けや、地方自治体などで大口の商談がまとまっている。北海道長沼町役場では、スマートチャージを導入、約40台の機器を8台に集約、管理工数と費用を大幅に削減、全体の印刷コストを集約して、一括管理している。医療現場に対しても、省電力など環境面やBCPの観点からも訴求している。
また、企業の環境意識の高まりもあり、現在、オフィスのセンターマシンと位置付け、オフィス戦略を強化している。パートナーとも連携、出力環境アセスメントやオフィスの脱炭素支援サービスなど強化していく。
環境面では、昨年12月の「エコプロ2023」で公開し、話題となった「新型PaperLab」を春からテスト導入し、秋から本格的に販売を開始する。水を使わずに、繊維素材を用途に合わせた繊維化や、結合・成形を行い素材の高機能化を実現する当社独自の「ドライファイバーテクノロジー」技術を搭載、紙の繰り返し循環を実現する。完成度がかなり高くなっており、環境意識の高い官公庁・自治体や金融・証券・製造業などを対象に導入していく。
アパレルやファッション業界では、環境負荷を考慮した取り組みが急速に広がっている。環境負荷を軽減するデジタル捺染(なっせん)で攻勢をかける。また大判プリンターを活用するためのクラウドサービスとして、印刷の効率化や色合わせの課題解決を支援するサービスなどにも力を入れている。
プロジェクターの需要も拡大が期待される。リアルな場での体験価値を上げていき、イベントスペース、商業施設での"空間演出"など、用途拡大も図っていく。