2024.01.18 【情報通信総合特集】ICTベンダートップに聞く 24年の見通し・経営戦略 NEC 堺和宏執行役CorporateSEVP兼Co-COO

「コアDX」事業を加速
モダナイゼーション支援

 モダナイゼーションの動きが進み、市場環境は思っていた以上に上向いているという実感だ。中でもクラウド化やセキュリティーに関する事業に重点的に取り組み、手応えが得られている。

 2021年度を初年度とする「2025中期経営計画」の達成に向けた成長ドライバーと位置付けるデジタルトランスフォーメーション(DX)支援事業「コアDX」は、特にDXの実現に必要なNECの強みを集約させた共通基盤「NEC Digital Platform(NDP)」の展開と、「コンサルティング起点のビジネス」が好調だ。パブリックとエンタープライズでみると、いずれもCAGR(年平均成長率)が40%程度で推移している。

 エンタープライズは金融や製造、リテール(小売り)など全ての分野が好調で、クラウド化が進展してきている。パブリックの領域はこれからだが、(政府や自治体が共同利用する共通クラウド基盤の)「ガバメントクラウド」を整備する動きが追い風になるだろう。

 NECはもともとレガシーシステムという既存領域が強く、既存顧客からみると安心感がある。新たなアイデアや技術を取り入れるDXを巡っては競争が激化しているが、そこはコンサルの能力を発揮して競争優位性を発揮したい。既にエンタープライズの領域で(NEC傘下の)アビームコンサルティングとの連携を強化し、シナジー(相乗効果)を引き出す実績を積み上げてきている。

 25年度まではモダナイゼーションがさらに進み、市場環境の活況が続くだろう。それが落ち着いてくると、さらにデジタル化を進める次のフェーズが来るとみている。

 人材がいなければ事業を伸ばせない。25年度までに1万人のDX人材を育てる目標を掲げており、着々と人材の育成と確保を進めている。明確化した職務に適した人材を配置するジョブ型人材マネジメントも強化しており、24年度から全社員を対象に導入する。キャリア採用などの人材施策も強化しており、より厳しい人材獲得競争の中では、有効な対策になるだろう。

 生成AI(人工知能)は、次の波として期待している。顧客や自社の業務に適用すると、業務効率化や生産性向上といった効果が見込める。強みは、日本語性能に優れた独自開発の「LLM(大規模言語モデル)」を提供できることだ。高品質で軽い独自のLLMを生かし、生成AIの応用領域を広げていきたい。