2024.01.17 【計測器総合特集】計測器 24年の戦略 各社トップに聞く エーディーシー 持田博史社長

持田 社長

DMM、SMUなど拡販を推進

 エーディーシーは、昨年前半まで半導体を含む電子部品の納入遅延の影響を受けたが、中盤以降は製品の納期改善が進んだ。

 2023年は1月にデジタルマルチメーター(DMM)の最上位機種で8 1/2桁表示の「7482」を、3月には最大出力/測定電流20Aの電圧/電流発生器・モニター「6254」を相次ぎ発表。持田博史社長は「お客さまには、タイムリーに製品提供ができた」と話す。

 足元の市況は、無線通信部品市場ではRFモジュール、SAWフィルターなど5Gスマートフォン向け部品市場が低迷。生産ライン用や6G向け部品の開発用途で電圧電流発生器(SMU)、エレクトロメーター製品の伸びが鈍化している。

 光通信部品市場は、データセンター間、基地局間通信向けなどのモジュールの生産ラインや開発用途でDMMやSMU製品の販売台数がやや減少傾向だ。

 一方、自動車市場はEVやハイブリッド車向け車載部品の生産設備に対しDMMやエレクトロメーター、SMUの販売が堅調だ。半導体市場向けもメモリー市場が低迷する中、一部のメモリー生産で、半導体試験装置の搭載用途でDMMの販売台数が順調に推移した。

 無線通信や光通信の部品市場、自動車関連の電子部品市場を中心にDMM、SMU、エレクトロメーターの拡販をさらに進めていく。

 24年はIOWNを中心とした光通信部品市場が活況となると見る。

 持田社長は「本格生産前の開発需要を見込み、新規の設備導入の流れに乗りたい」と述べる。

 EVを中心とした自動車部品市場も活発化する見通しで、バッテリー電圧変動モニターや充放電マネジメントデバイスの開発、生産用のDMM/SMUの多チャンネル化が可能な測定システム提案を強化する考え。6Gなど無線通信市場の回復にも期待する。

 昨年は創立20周年。恒温槽など工場内設備のメンテナンスを行い、今後の生産力強化に備えた。今年はDMMの新製品やSMUの新モジュールなどの投入を計画する。持田社長は「会社の顔となる"世界一"の製品を出したい」と意気込みを示す。