2024.01.17 【計測器総合特集】計測器 24年の戦略 各社トップに聞く 共立電気計器 倉本正道社長
倉本 社長
販売と連携でマーケティングに力
共立電気計器の2023年は、国内顧客である電設関係が順調だった。海外向けは部材不足の際も比較的、安定的な製品供給が行えたことで業績は堅調に推移。倉本正道社長は「円安の影響も全体的には経営への大きな影響はなかった」と振り返る。
昨年、日本電設工業協会主催の「JECA FAIR2023製品コンクール」でペン型絶縁・接地抵抗計「KEW 6041BT」が経済産業大臣賞を受賞した。春先から電気工事店や保安関係からの受注が増加し、生産体制を強化するなど対応に追われた。
JECAの製品コンクール受賞は同製品で6回連続。製品開発について、倉本社長は「顧客志向で製品に付加価値を付けることに力を入れている」と説明する。そのために電設資材の展示即売会などを訪れてニーズを聞く努力を惜しまない。「チャネル販売だとエンドユーザーの声が届かない」(倉本社長)とし、使い手の意見に耳を傾ける重要さを強調する。
苦言も含めて開発部門でニーズを共有。実際にエンドユーザーに使い勝手を試してもらうなどしながら慎重に開発を進める。「エンドユーザーの声を聞く機会が増えており、開発者も貴重な機会と喜んでいる」(倉本社長)。リリース前のこうした地道な取り組みが、使い手の真のニーズを反映させた製品づくりにつながる。
最近はインターネットを通じて、海外の電気工事業者といったユーザーとの接点も増えてきた。今後、海外ユーザーのニーズを反映した製品づくりにも期待が持てる。
EV普通充電器を試験するマルチファンクションテスター「KEW 6514BT」を今年リリース予定。普通充電器の動作確認をする試験用アダプター「KEW8601」は先行発売しており、今年の注力製品の一つだ。
ユーザーである建設業界では働き方改革への対応が急務。働き手の負荷軽減に共立の製品が役立てるはずと可能性を探る。24年は販売部署と連携してマーケティングにさらに力を入れていく。