2024.01.17 【計測器総合特集】計測器 24年の戦略 各社トップに聞く チノー 豊田三喜男社長
豊田 社長
温度計測ソリューション、お客の困り事に十分対応
チノーは、計装システム、計測制御機器、センサーの主要3事業で高付加価値の製品作りによる顧客の課題解決への貢献を図る。
燃料電池の評価試験装置など脱炭素関連が好調で、2023年度連結業績予想は昨年11月に上方修正した
豊田三喜男社長は「評価試験装置などの業績へのインパクトが大きくなってきた」と確かな手応えを感じている。来期向けの受注残も少なくなく、要因として「製造や販売などの社内連携で組織だった活動ができるようになってきた」点を挙げる。
熱電対や測温抵抗体などが半導体分野での温度管理用途で需要が堅調だ。シリコン融液から円柱状の単結晶の塊(インゴット)を引き上げる際の放射温度計などで引き合いが増えている。今後、熱処理やエージングなど、半導体プロセスの活用領域を広げていくことも検討する。放射温度計は半導体分野以外にも人工ダイヤモンドの生産工程でも用いられている。
リアルタイム無線ロガー「MZシリーズ」は輸送時に発生する恐れのあるデータの欠損を防止する機能を備えた製品で、物流関係の需要が伸びている。
温度の常時測定・監視に適用でき、トレーサビリティーの観点でワクチンなど医薬品物流で必要な厳格な温度管理の要求に応えるロガーで、医薬品物流領域からの注文が増えているという。電力監視の用途なども想定される。
電気炉で材料を熱処理する際にもサイリスターや調節計、記録計が採用されるなど同社製品が活躍する場面が増えてきた。豊田社長は「顧客の困り事に十分に対応できる温度計測ソリューションを提供していきたい」と話す。
海外市場は中国の停滞に注視するが「悲観はしていない」(豊田社長)。韓国も大手メーカーの需要に応えて、海外売上高は両国で増収傾向だ。海外では記録計の売上比率が高く、さらに注力していく。
24年はデータを基に迅速に経営判断する「データドリブン」に力を入れる。豊田社長は「質のよい情報を基に意思決定して、行動に移す必要がある」と指摘。システムの構築でデータ活用の高度化を進めたい考えだ。