2024.01.19 【LED照明特集】LED照明 トップが語る24年事業戦略 岩崎電気 伊藤義剛代表取締役社長
伊藤 社長
MBOで次世代に引き継ぐ
将来見据え成長へ
昨年は、2月にMBO(マネジメント・バイアウト)を表明した。株式を公開買い付けした目的会社を吸収合併して10月から「新生・岩崎電気」として始動した。新しい体制となり、変わるという姿勢を示し、大きな改革の一歩として次世代に引き継いでいきたい。
MBOを決断したのは、大きく二つの要因がある。一つはアクティビスト(物言う株主)の声。もう一つは米国のランプ子会社の業績が急速に悪くなり、20億円を超える特別損失を計上したことだ。ここまで急速に悪くなるのを予想できず、この先の「岩崎電気の縮図」ではないかと危機感を覚えた。部品の代替がきかない特殊な設計をしたり、自前主義から脱却しきれていなかったりしたことも、スピード感を持って改革していく必要性を痛感し、MBOに踏み切った形だ。
構造改革と成長を目指すプロジェクトを既に同時並行で進めている。5年先、10年先と将来を見据えて成長を描ける企業を目指さなければ、企業価値は上がらない。MBOを機に、キャッシュを稼げる会社への変革を加速していく。
照明事業と光・環境事業の今後の成長戦略について、3月までに方向性をまとめる考えだ。自前主義からの脱却を目指した外部パートナーとの連携も視野に進める。人事制度も見直し、業務成果を重視したジョブ型も導入している。目標を設定することで、緊張感を持ちながら業務に臨む環境を整えていく。
今年は、これまで実施してきた改革を実行に移す一年。HIDランプの製造をいつまで続けるかなども本気になって考えなければならない。HIDランプの今後については、今年の早い段階でお客さまに伝えられるようにしたいと思っている。
そういう意味でも、今年は勝負の年だと思っている。経済環境が悪いという印象はないため、変革を恐れなければ当社にもチャンスは十分あると思う。HIDランプは今後なくなるが、その一方で変えられるものもある。前向きに進めばチャンスはあり、照明業界の枠を超えた取り組みも大事になってくる。
昨年はその一歩を踏み出した。新商品を愚直に出しつつ、利益の出る事業構造へと変わることを今年は目指していく。