2024.04.02 スカパーJSAT、宇宙スタートアップと協業加速 30年までに100億円投資

スタートアップ企業への投資を発表する米倉社長

スタートアップと創る宇宙エコシステムについて説明する福岡副社長スタートアップと創る宇宙エコシステムについて説明する福岡副社長

 スカパーJSATは新たな宇宙ビジネスの共創を目指し、国内外の宇宙関連スタートアップや宇宙系ベンチャーファンドを対象に2030年までに計100億円規模の投資を行う。

 同社は人工衛星を活用した宇宙事業が主力で、衛星通信や衛星画像のデータ分析などを担うスタートアップに投資することで、自社事業との相乗効果を狙う。

 投資対象は通信関連、スペースインテリジェンス、開拓領域での宇宙事業の成長に関連する企業。日本の民間企業として初めて人工衛星を打ち上げて以来、30年以上にわたり宇宙・衛星ビジネスを行ってきた。同社は積み上げてきた知見・アセットとスタートアップ企業の新しい技術を組み合わせたスタートアップ発の宇宙ビジネスの新たな可能性を創造することを目的としている。

 同社は、この投資枠の設定に加え、SPACETIDEが提供するアクセラレーションプログラム「AXELA」との連携などにより、持続可能な未来のための新たな宇宙ビジネスの共創を目指す。

 宇宙事業でも衛星通信などに強みを持つ同社は、22年4月に衛星通信以外の新技術の活用と宇宙事業の強化に向け、30年までに1500億円を投資する計画を掲げている。今回の投資はその一環となる。同社の宇宙事業と親和性のある衛星通信や衛星データの分析などの企業のほか、宇宙関連に強いベンチャーファンドなどへの投資も検討する。

 同社の米倉英一社長は「新たなビジネスモデルに挑戦したい。宇宙を市場として取り組む場合は、乗り越えないといけない技術的な課題やリストなどの問題はたくさんある。10年20年その先の未来のために、今何ができるか、これから来る技術の掛け算やアプリケーションの足し算などを繰り返して、前に進んでビジネスを無限化していこうという思いが大事だ」とし、「この場を皆さんと共に新たなビジネスを生み出す場になってほしいし何かきっかけになればいい。そういう熱い思いを前面に出していく仕掛けの一つだ」と語った。

 福岡徹執行役員副社長兼宇宙事業部門長は「光データ中継やレーザー技術を活用したスペースなど、新たな事業にも積極的に取組み、事業領域の拡大を目指している。今回の投資に関しては当社の強みなどを知っていただき、新しい宇宙ビジネスを共に作っていく第一歩にしたい」と述べた。(3日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)