2024.05.09 1兆パラメーターLLM、ソフトバンクが24年度下期に構築へ 宮川社長「計算能力を37倍に引き上げる」
エヌビディアのGPU「B200」を搭載した世界初のシステム「NVIDIA DGX B200」(ソフトバンク提供)
ソフトバンクの宮川潤一社長は9日、生成AI(人工知能)の開発に約1500億円を投じ、大規模言語モデル(LLM)の規模を示す数値が1兆パラメーターの基盤を2024年度下期から構築する方針を明らかにした。宮川社長は「今回の投資で、AI計算基盤の計算能力を現状の37倍まで引き上げ、生成AI時代のマーケットリーダーを目指したい」と意気込みを示した。
同社は昨年秋、約130億円を投じて、米エヌビディアのGPU(画像処理用半導体)「A100」をベースに1300億パラメーターのLLMを構築。AI計算基盤を外部に貸し出している。
宮川社長は9日の決算会見で、経済産業省のクラウドプログラム補助金に申請中の約420億円を含め、約1500億円を投じてLLMを増強する考えを表明した。
24年度上期から3900億パラメーターのLLMの構築に着手し、24年度下期から1兆パラメーターのLLMの構築を開始する方針。エヌビディアの最先端GPU「B200」を搭載した世界初のシステムになるという。
宮川社長は「AI計算基盤は底堅い需要があり設備の貸し出しだけでも投資の回収はできるが、独自の1兆パラメーターの生成AIの構築にも活用する」と強調。企業や自治体に提供し存在感を示したい考え。
生成AI開発をめぐっては、米IT大手各社が日本での事業展開を強化している。マイクロソフトは今後2年間で約4400億円を日本向けに投資する計画を打ち出したほか、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は27年までの5年間で約2兆3000億円を投資する方針。グーグルも1000億円を投じてデータセンターや海底ケーブルの敷設を進めている。
国内でもNECとNTTが日本語特化のLLMを商用化したほか、KDDIもAI開発のスタートアップを子会社化して生成AIに参入。楽天グループも事業化を準備しており、国内外の競争が激しさを増している。