2024.05.22 6年で一人前に 施設管理人材を短期育成 半導体工場の需要増に対応 NECファシリティーズ

エアー設備での復旧作業の実演の様子=21日、FM-Base(千葉県我孫子市)

VR(仮想現実)を使ったトラブルの疑似体験も可能VR(仮想現実)を使ったトラブルの疑似体験も可能

 NECグループでインフラ施設の運用管理を担うNECファシリティーズは、千葉県我孫子市の我孫子事業場内に研修・研究開発センター「FM-Base」を新設し、今月から稼働を始めた。半導体工場などの施設管理需要の急増を見込み、施設管理業務の受託ビジネス拡大の拠点として、人材の早期育成とデジタル化による業務効率化を目指す。

 新拠点は、382平方メートルの設備実習エリアに、半導体工場に必要とされる電気や純水、排水処理、排ガス処理など、実際の工場とほぼ同レベルの計11種類の設備を備える。投資額は約10億円。

 カリキュラムとして、数年に一度のトラブルを模擬的に発生させ、復旧作業を習得するまで繰り返し実機を操作するトラブルシューティング研修のほか、メンテナンス対応を学ぶ研修など計27種類のコースを用意。研修は年間300人程度を対象に実施する。

 従来のOJT(職場内訓練)中心の育成では一人前となるのに12年程度を要していたが、FM-Baseで得た知識・ノウハウを各現場ですぐに実践して経験を積むことで、6年程度への半減を目指す。

 これまで目視で行っていた作業をセンサーやカメラに置き換えるなど、デジタル技術を活用した業務効率化に向けた研修も今後行う予定。得られたデータを活用してNEC独自の生成AI「cotomi(コトミ)」を使った画像解析を進めるほか、日報や報告書の自動生成も実施したい考え。

 NECファシリティーズの橋谷直樹社長は「若い人でも自身の成長スピードを実感できるようになる。研修を通じて待遇改善が実現できれば、業界に人が集まることにもつながる」と期待。「半導体工場は各地に点在しているので、今後は九州など全国に拡大していきたい」とさらなる展開を見据える。

 同社は、半導体や電子部品、医薬品製造業を中心に、工場の電気、空調、給排水といったインフラ設備の管理・運用を担う施設管理の受託事業を全国169拠点で展開している。

(23日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)