2024.07.03 「まるで現地を訪れたかのよう」 16K超えVR映像で没入感 デジタル文化財の体験施設 TOPPAN

没入感あふれる映像が楽しめる「VRシアター」

「エキシビジョンスペース」では失われた文化財を復元した作品を展示「エキシビジョンスペース」では失われた文化財を復元した作品を展示

 TOPPANホールディングスグループのTOPPANは3日、デジタル技術を駆使した文化財体験施設「デジタル文化財ミュージアムKOISHIKAWA XROSS(コイシカワクロス)」を、東京都文京区の小石川本社ビルに新設した。当面は、デジタル文化財の活用を目指す自治体や企業向けに公開しビジネスにつなげたい考え。10月から週末限定で一般公開する。

 新たに開設したコイシカワクロスは4つのコーナーでデジタル文化財の鑑賞手法を提案。施設入り口の「ゲート」では、プロローグとして、鳥居型のLEDビジョンが来場者を出迎え、出発点を表現した光の粒子が施設内に導く。

 誘導された先にある「VRシアター」は、480枚のLEDパネルをつないだ全長20メートル、高さ5メートルの大型LEDビジョンを完備。視野180度のカーブビジョンと、臨場感あふれる16K超の超高精細VR映像が没入体験を演出する。奈良県・金峯山寺の本堂である国「蔵王堂」と秘仏本尊の重要文化財「金剛蔵王大権現立像」をデジタルアーカイブしVR作品として紹介。3日には報道陣に公開され、まるで現地を訪れたかのような迫力のVR映像が展開された。

 最新プロジェクトを紹介する企画展示スペース「エキシビジョンスペース」では、焼失したとされる伊藤若冲「釈迦十六羅漢図屏風」など失われた文化財の推定復元作品などの特別展示を行う。  

 土偶やしゃちほこなど多様な鑑賞体験をそろえた「ギャラリー」には、大型ディスプレーと連動した文化財鑑賞システムを用意し、好きな角度からデジタル文化財を楽しめる。

 TOPPANの齊藤昌典社長は「文化財をデジタル化することによって、普段は見ることができない裏側や角度で、新しい体験を提供することに大きな価値がある」と強調。まずは文化財を持つ自治体や企業に施設を公開して価値を理解してもらった上で、施設の施工から運営まで幅広く提案するビジネスモデルの確立を目指す。初年度は15件程度の提案案件を獲得したい考え。

 ビジネス向けには3日から、火曜~金曜に予約制で公開。一般公開は10月5日から週末限定で1日3回(各回定員12人)をオンライン予約制で始める。料金は500円。8月24・25日には一般向け限定先行公開を行う。