2024.07.02 家庭用蓄電池、約40万円で導入可能に 新たな選択肢「鉛」を共同開発 マクニカ

1.2kWhの鉛蓄電池を6個組み合わせた「ソルダム」

 家庭用蓄電池で新たな選択肢が出てきた。半導体商社のマクニカは、一般的なリチウムイオン電池に比べてコストを3分の1以下に抑えられる鉛蓄電池の投入を目指し、サーキュラー蓄電ソリューション(東京都杉並区)と製品を共同開発。「soldam(ソルダム)」として製品化し、固定価格買い取り制度(FIT)の期限が切れた「卒FIT」の家庭に向けた導入を狙っていく。初期費用は40万円程度とし、一般的な家庭用蓄電池に比べるとかなり割安だ。

 開発したソルダムは、中国の山東聖陽電源(セイクリッドサン)製1.2kWhの鉛蓄電池を6個組み合わせた7.2kWhの製品。戸建て住宅の屋外に置きやすいサイズが特徴。耐用年数は10年だが、交換目安は5年を想定し、エネルギー管理システム(EMS)で状態を遠隔監視する。

 40万円程度の導入費とは別に、性能劣化による交換費用を想定。総コストは一般的なリチウムイオン電池の3分の1以下で、自治体の補助金で初期費用も抑えられることを期待する。

 コストに加え、もう1つのメリットが火災に対する安全性。マクニカのイノベーション戦略事業本部サーキュラーエコノミービジネス部の脇坂正臣部長は、リチウムイオン電池と比べて「燃えないことが強み」と強調する。価格と安全性の利点を訴求し、導入につなげたい考えだ。

 当初は今年秋の受注開始を予定していたが、生産調整中のため現在は未定。「なるべく早く提供したい」(脇坂部長)としている。