2024.08.26 【エレクトロニクスに貢献する化学材料特集】各社の事業戦略/主力製品 東京応化工業
先端フォトレジスト
先端フォトレジストのグローバルシェア向上へ
東京応化工業は、生成AI(人工知能)や中国向けの需要拡大に伴う半導体市況回復を背景に業績を好調に拡大している。2024年度(12月期)上期の連結業績は大幅な増収増益となり、通期予想も上方修正した。通期の売り上げは過去最高を更新する見込みで、24年度を最終年度とする「tok中期計画2024(3カ年)」の売上高・営業利益目標もクリアする見通し。
種市順昭社長は、最近の事業動向について「エレクトロニクス機能材料は、生成AIの本格的な普及により、半導体フォトレジストやパッケージ材料の販売が好調に増加している。高純度化学薬品もアジアでの顧客の稼働率が上昇している。下期もエレクトロニクス機能材料、高純度化学薬品ともに売り上げ拡大を見込む」と話す。
今後の戦略について、種市社長は「今後5年間で半導体工場の新設や増設が多数予定されている。これらが動き出せば半導体業界は非常に多忙な状況が訪れる。これらの需要をしっかり満たしていくことが事業戦略の根幹」とし、「①情報端末②クラウド③センシング&IoT④グリーンエネルギーの4分野でしっかりと成長できる体制を整えていく」とする。
投資関連では昨年、郡山工場(福島県郡山市)の新検査棟が稼働し、生産のボトルネックとなる検査能力の増強を実施中。加えて24年下期に同工場に世界最大のフォトレジスト製造棟の建設に着工予定など、郡山工場の生産機能増強も進めている。熊本県菊池市の高純度化学薬品新工場にも着工し、25年上期の稼働を予定。韓国でも検査棟を増設する計画。さらに新たな工場用地確保も進める。
中期計画では五つの戦略として①先端レジストのグローバルシェア向上②電子材料および新規分野でのコア技術の獲得/創出③高品質製品の安定供給とグループに最適な生産体制の構築④従業員エンゲージメントを向上させ人を生かす経営の推進⑤健全で効率的な経営基盤の整備を掲げ、「おおむね順調に進捗(しんちょく)している」(種市社長)。
先端レジストのグローバルシェア向上では、EUV(極端紫外線)レジストやArFレジストのシェア向上に努めている。同社のEUVレジストは、2ナノメートルプロセスでも複数の工程で採用が進み、足元では1.4ナノメートルプロセス向けの開発にも着手している。
同社は今年2月に、同社グループの30年に向けた長期ビジョン「TOK Vision 2030」の見直しを発表し、今後の半導体市場の成長見通しを踏まえて30年度業績の定量面を変更した。見直し後の30年度定量面は、売上高3500億円(見直し前=2000億円)、EBITDA770億円(同450億円)、ROE13%以上(同10%以上)と大幅に上方修正した。「今後も中期計画をしっかりと推進し、30年に向けたビジョンを実現したい」(種市社長)。