2024.08.26 EV電池の日本市場、50年に8兆円 「循環型」の潜在性大 日本総研が予測

EV電池の循環経済市場の予測(出所:日本総研)

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50年には8兆円のEV電池の循環市場を予測する50年には8兆円のEV電池の循環市場を予測する

 日本総合研究所は、中古の電気自動車(EV)が海外流出せず、国内のサーキュラーエコノミー(循環経済)市場に流通した場合、EV電池の国内市場は2050年までに約8兆円規模に達するとの予測をまとめた。

 日本総研によると、中古EV電池のほとんどが現在、海外に流出している。流出に歯止めがかからない場合、EV電池の循環経済は国内で形成されず、潜在的市場を失う可能性が大きいと指摘する。

 一方で、EV電池が輸出されず循環経済として国内市場で流通すれば、潜在市場も拡大すると予測。EV電池の製造には資源の枯渇が懸念されるリチウムをはじめとするレアメタルが不可欠。またレアメタルの産出国の中国は地政学的なリスクが高い。このためEV電池の循環経済を成り立たせることが日本にとって必要との見方だ。

 日本総研は、EV電池の循環工程に対応させ、3つに分類して市場を予測する。①中古EV関連市場(中古EV、同保険・保証サービス、運用管理サービスなど)②リユースEV電池関連市場(リユースEV電池、同保険・保証サービスなど)③EV電池リサイクル関連市場(リサイクルにより抽出されるリチウム、コバルト、ニッケルなどの再生資源市場、EV電池の廃棄処理市場など)。

 3分類とも50年にかけて長期的な成長は確実と推定され、市場全体では30年の6000億円から50年には約8兆円へと大きく飛躍すると予想する。

 現在、ほとんどの中古EV電池が中古EVに搭載されたまま海外に流出している。このため循環経済が形成されない場合、資源安全保障などの問題点が解決されないうえ、産業育成の機会喪失などと合わせて8兆円近い潜在市場を国内から失うことになると日本総研は警鐘を鳴らしている。

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