2025.01.01 【家電総合特集】AV/ホームソリューション25年各社の戦略 アキュフェーズ 鈴木雅臣社長
鈴木 社長
昨年発売の新製品が高評価
新しいステップの年に
2024年の販売状況は、夏以降に国内の勢いが落ちてきたものの、23年の新製品が原動力となり、全体としてはまずまずの実績を残した。
昨年は新製品4機種を市場投入した。4月に純A級インテグレーテッドアンプ「E-650」の後継機「E-700」、6月にマルチアンプ・システム用ディジタル・チャンネル・ディバイダー「DF-65」の後継機「DF-75」、10月に純A級ステレオパワーアンプ「A-48」の後継機「A-48S」、11月に純A級インテグレーテッドアンプ「E-800」の後継機「E-800S」を発売した。
これらの製品は、国内外のオーディオ雑誌で高く評価され数々の栄誉ある賞に輝いた。これまで製品のモデルチェンジに際してはモデル名の数字を変えてきたが、並びのいい数字に落ち着いた製品については、数字を固定してサフィックス(接尾辞)を付けることでモデル名を変えることにした。
過去にもモデル名にサフィックスを付けたことがあった。最初の製品であるプリアンプ「C-200」、パワーアンプ「P-300」は、モデルチェンジをして「C-200S」「P-300S」にしたことがあったが、A-48S、E-800Sはこれに倣った。
昨年発売した新製品4機種のうち3機種がパワーアンプの出力素子にMOSFETを使って純A級で動作させる製品だ。MOSFETと純A級動作の組み合わせが醸し出す音色は多くのオーディオファンの憧れ。これらの製品はいずれも初回生産分が完売となり、それ以降も販売は好調で製品納入までに時間をいただいている。
一方で、当社はオーディオ文化の持続的発展に資するため、販売台数が見込めないニッチな分野の製品についても継続的に開発、販売している。
昨年発売したDF-75はその一例だ。マルチアンプ・システム用の製品だが、この方式のオーディオシステムを組み上げているユーザーは大変少ない。DF-75は、1976年に発売した初代製品から数えて12機種目になる。
また、音楽ソースの主流から外れて久しいFMチューナーも、継続的に開発し販売を続けている。今後もハイエンドオーディオメーカーの責務として、このような製品の開発、販売を継続していく考えだ。
当社は、創業時から信頼性に優れた部品や材料を選び、余裕のある条件で使用することで、製品の長期信頼性と安全性を確保してきた。この結果、製品の故障率は年々低下し、昨年の国内修理件数は10年前の70%まで、5年前の88%まで下がっている。
安全性の高さについては、経済産業省が主催する製品安全対策優良企業表彰においてゴールド企業に認定されている。
当社は21年に創立50周年記念モデルとして各分野のフラッグシップとなる製品6機種を発売し、ここで培った技術や音質を下位モデルへと展開してきた。25年はこの展開が終わり、新しいステップを踏み出す年になる。これからも、オーディオ文化の向上に尽くし、お客さまのオーディオライフを豊かにする製品を提供していく。