2025.01.01 【家電総合特集】AV/ホームソリューション25年各社の戦略 オーディオテクニカ 松下和雄社長

松下 社長

多様な音楽体験を創造

〝アナログ〟の未来を育む

 音を楽しむ世界中の人々に愛され、カートリッジ、マイクロホン、ヘッドホンの三つのカテゴリーで開発・製造・販売を行う唯一の総合トランスデューサーメーカーとして成長してきた。

 昨年はアナログ分野で、フラッグシップモデルのダイレクトパワーMCカートリッジを8年ぶりにリニューアルした「AT-ART1000X」を発売。「OTOTEN2024」で国内初披露し大きな反響を呼んだ。

 ヘッドホンでは、開放型のハイエンドモデルを再定義し〝トゥルーオープンエアー(真の開放型)オーディオ〟を掲げたエアーダイナミックヘッドホン「ATH-ADX3000」を発売。Hi-Fiヘッドホンユーザーの共感を得るとともに複数の専門誌アワードを受賞した。

 業務用機器では「Inter BEE 2024」に3年連続で出展した。レシーバーを5台接続することで最大20チャンネル使用できる2.4ギガヘルツ帯デジタルワイヤレスシステム「System 20 PRO」を披露したほか、1台で3Dオーディオサウンドを収音できるマイクロホン「BP3600」を実演。高評価を得た。

 楽器関連製品を体験できるエクスペリエンスブースにも初めて出展。当社を代表するマイクロホン「AT2020」シリーズや「AT50」シリーズ、プロフェッショナルモニターヘッドホン「M」シリーズの各製品群を展開し、若年層にもアプローチできた。

 昨年は新たな拠点を設立した。3月に米ニューヨーク市マンハッタンのソーホー地区に情報収集と情報発信の拠点「Technica House New York」を開設するとともに、サンディエゴに新たな物流センターをオープン。拡大するECマーケットに合わせた物流網を構築した。

 日本では7月にスタジオ兼リスニングルームやハドルルームなどを完備した「テクニカハウス大阪」を開所した。関西地区の新たな情報発信基地としていく。

 ほかにも、「未知との出会い」をテーマにした子どものための屋内広場「PLAY! PARK」との取り組みを続けているほか、本社を構える東京都町田市、多摩市、稲城市との共同事業「子ども体験塾」も展開。これらのイベントを通じて、子どもたちの音に対する感性を育むとともに、将来の職業を考えるきっかけづくりと当社が音に関わる企業であることを知ってもらう機会を創出した。

 また、音楽と芸術教育で世界中の子どもの育成を手助けする「Playing For Change」へのスポンサー支援も行い、音楽文化への貢献を続けている。

 スポーツ分野ではフランス・パリでの世界最大のスポーツイベントへのマイクロホンの提供や、オートバイロードレースの世界選手権のオフィシャルマイクロホンソリューションプロバイダーにもなっている。

 今後も刻々と変化する時代に合わせた新しい価値を生み出し、音楽を愛する全ての人々に、フレッシュな感動と幸福を提供し続けることこそがわれわれの大切な役割で守るべき使命ではないかと考える。25年も業界を盛り上げ、共に発展していきたい。