2025.01.01 【家電総合特集】AV/ホームソリューション25年各社の戦略 カナック企画 金子高一郎社長
金子 社長
新製品群を一気に投入
取り付けキット・安心安全・音の3つを軸に展開
長年、カーナビゲーションシステムやカーオーディオの取り付けキットの開発、販売を手掛けてきたが、国内の市販カーエレクトロニクス市場は2025年、大きな転換期を迎えるとみている。
自動車各社の新型車は市販ナビなどの取り付けができない車種が増えており、これからはカーナビだけにとらわれない新たな価値の提供が必要だ。
これまで柱としてきた「取り付けキット」「安心安全」「音」の三つを引き続き軸にしながら、時代の流れに合った製品展開をしていきたい。
コロナ禍以降、国内カーエレ市場は新型車のディスプレーオーディオ化をはじめ、ナビ取り付けスペースが制限された車種が増えるなど苦しい環境が続いているが、24年は人気の新型車を中心に、取り付けキットを素早く開発し市場に投入してきた。
特にホンダ・N-BOXや、三菱・デリカミニなどの人気車種向けのキットが好調に推移した。オーディオレス設定のある人気車種の動向を常に注視しながら、これからも素早いキット開発を進めていきたいと考えている。
カーオーディオでも新たな流れを作っていきたい。22年に発売した純正オーディオの音を改善する「ESシリーズ」は、良い音を手軽に楽しめる純正サウンドアップ用コードだ。
市販ナビを取り付けられない車種でも、純正オーディオに配線加工せずにパワーアンプやウーハーを取り付けられる。良い音を諦めていた人に、ぜひ体感してほしい。純正のオーディオが飛躍的に高音質になる入り口のキットで、スピーカーを交換すればさらに高音質化できる。
昨年はDSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)の開発にも着手しており、今年は製品を発売していく。ESシリーズで、純正でももっと良い音を感じてもらえるよう、「音に気付け!」をキーワードに打ち出していきたい。
安心安全ではカーセキュリティーの新製品を、今春をめどに投入する。スマートフォンと連動する盗難抑制装置で、独自に機器からアプリまで開発した。車両盗難や駐車時の事故などが増える中、セキュリティーに対する需要も高まっているため、新たなセキュリティーシステムとして提案していく。
これまでは上空から俯瞰(ふかん)できる独自開発の全方位駐車支援システム「サテライトビューカメラ」を展開してきたが、純正装着が増えてきた背景から新たな製品を展開する。乗用車ではなく重機など商用車両の死角をなくすシステムを開発中で、今年発売する計画だ。
新たに開発している製品はこれまでのカー用品としての販路と違う展開も視野に入れて調整をしており、新しい市場に向けて提案できるようにしていく。
当社はコロナ禍後も業績を着実に伸ばしている。業務用途では、幼稚園や保育園の送迎バスにおける園児置き去り事故防止のための警報装置を発売するなど、市場の動きに合わせた製品展開をすることで需要を取り込んできた。
25年は、これまで開発してきた製品群を一気に投入し、市販カーエレクトロニクス市場を盛り上げていきたい。