2025.01.01 【家電総合特集】AV/ホームソリューション25年各社の戦略 ダイキン工業 石井克典執行役員空調営業本部長

石井 執行役員

エアコン需要引き続き獲得へ

省エネ軸に買い替え訴求

 2024年度上期(4~9月)は、酷暑・残暑が厳しい季節的要因もあり、エアコン業界全体は好調に推移し、業務用・家庭用空調ともに手応えがあった。

 業務用空調関係では、旺盛なインバウンド需要に支えられ、ホテル関連などでの、空調の更新需要・新規需要が拡大し、パッケージエアコンは業界全体で前年を上回るペースで推移した。

 当社も省エネ性能に優れた店舗・オフィス用エアコン「FIVE STAR ZEAS」の提案を強化、需要の顕在化を図った。FIVE STAR ZEASは、当社史上最高のAPF(通年エネルギー消費効率)を達成しており、当社スタンダードモデルEco-ZEASと比較して、イニシャルコストが高い分を電気代の節電効果によって、数年で回収できる点をアピールし、評価いただけた。

 既設機との電気代の差を分かりやすく訴求するZEAS省エネ提案ツール「どこでもパートナー」を活用した。

 ルームエアコンについても業界全体は、猛暑・残暑の天候要因もあって業界全体が上期前年を上回り、当社も業界を上回って推移した。

 中でもフラッグシップモデルである「うるさらX」は、エアコン運転時の8割を占める安定運転時の省エネ制御「節電自動運転」を搭載している。

 最新25年モデルでは安定運転時の湿度コントロールも可能とし、電気代高騰の中で、多くのお客さまから支持をいただいている。空調の必要能力に合わせ、電力の抑制幅を変動させ、1時間当たり約20%節電できる。

 ヒートポンプ・蓄熱センター主催「令和6年度デマンドサイドマネジメント表彰(DSMA)」では、機器部門優秀賞をいただいた。ルームエアコンで初の受賞となった。

 25年度の市場環境については、さまざまな経済環境の変化はあるものの、総じて24年度と同じような推移をすると見込んでいる。

 業務用空調分野では、引き続きインバウンド需要やカーボンニュートラル実現を見据えた省エネ投資の拡大をベースに更新・新規需要が増加するだろう。

 ルームエアコンについても、夏場の天候要因は大きいものの、前年並みの需要が見込める。

 室内の空気環境に敏感になったコロナ禍の20年度に、エアコン需要は1000万台を超えた。このことから、きっかけがあれば潜在的に大きなストックを抱えるエアコン買い替え需要が顕在化し、買い替えサイクルは速まっているとも考えられる。

 家庭用も業務用も25年は引き続き、節電の流れは変わらないことから、当社としてはFIVE STAR ZEASやうるさらXといった省エネ商材を中心に、愚直にお客さまに対してアピールしていきたい。

 また、ビル用マルチについては、3月末でR410Aから低GWP冷媒R32対応機への切り替えが始まる。新築物件を中心に当社R32対応のビルマルの商品提案を強化していく。

 国内空調営業に関して、25年は改めて〝現場〟の力を大切に、地域・市場に密着した製品・ソリューション提案を重視して臨みたい。市場のニーズがどこにあるか見極め、個々のお困り事に対して、的確な営業・サービスのリソースを投入していく。