2025.01.01 【家電総合特集】AV/ホームソリューション25年各社の戦略 シャープ 菅原靖文常務執行役員スマートライフ&エナジービジネスグループ長兼Smart Appliances & Solutions事業本部長
菅原 常務
省エネが大きなテーマ
生成AIでAIoT機能進化
2024年度上期は、シャープブランドを支える中核となる〝尖(とが)った商品〟を積極的に投入し、力を入れた。この面では大きな手応えを得ることができた。
24年春には奥行き63センチメートルを実現した大型冷蔵庫FIT63シリーズを投入したのをはじめ、夏にはウォーターオーブン ヘルシオをフルモデルチェンジし、ステーションタイプのコードレススティック掃除機やヘルシオ ホットクックも発売したほか、空気の見える化を図った空気清浄機、省エネかつ大容量12キログラムのドラム式洗濯乾燥機など、主力商品での新製品戦略を強化した。
さらには理美容関連では、好評のプラズマクラスタードレープフロードライヤーに加え、ストレートアイロン、ヘアブラシとラインアップを強化、年末にはヘルシオ トースターも投入した。それぞれ業界に旋風を巻き起こせる商品群を投入できると考えている。
これら一連の新製品は販売が好調で、12キログラムタイプのドラム式洗濯乾燥機やホットクックが健闘したほか、ヘルシオ トースターは予約販売で600台を上回る実績を上げ、当初計画の3倍に引き上げ増産対応を図った。
国内の白物家電マーケットが全体を持ち上げる力感に欠けている中で、下期以降はこれらの期待商品での活性化に全力を挙げたい。
海外については、ASEAN市場でエアコンがけん引したほか、冷蔵庫も健闘した。米国市場ではビルトインオーブンなど調理家電が頑張った。
25年は、国内市場は賃金が上がっても電気代をはじめ物価高騰で、消費は大きく伸びないとみている。電気代が高騰する中、省エネや節水、タイムパフォーマンスに貢献する特長や食品ロスを抑える機能を訴求するなど、あらゆる場面で顧客ニーズを踏み外さない提案をやり続けることが重要だ。特に省エネは大きなテーマとなるだろう。
顧客の買い替えタイミングは必ず巡ってくるため需要はある。25年も引き続き、世の中に受け入れられるシャープらしい商品をどんどん出していきたい。
25年以降は、AIoT機能ももっと進化させていく。生成AI(人工知能)技術をどう取り込んでいくかが鍵を握る。顧客のIoTに対する認識が24年は大きく変化した。そのトリガーとなったのは生成AIだ。
AIoT家電の、外出からの遠隔操作ができるといった利便性はもとより、生成AIによる自動応答がより身近に便利なモノとして受け入れられ、IoTが必要機能として広く認められるようになった。
IoT家電は新たな次のステージに入っており、マーケット全体の閉塞(へいそく)感を打破するキーワードをAIoTにしたい。
プラズマクラスター技術についても、運転能力の改善や野菜生産性の向上など、さまざまな効果の検証を進め、デバイス技術も進化させていく。
海外市場では、25年3月から米国市場でハイスピードオーブンを投入、これをトリガーにして市場でのポジションをしっかり固めていく。加えてエジプトのエルアラビ社と協定を結び、両社が組んで冷蔵庫、エアコン、洗濯機(ドラム式)といった主力商品の中東・アフリカ市場への拡大も狙っていく。