2025.01.09 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2025年の経営戦略 立隆電子工業 呉志銘CEO
呉 CEO
タイに新工場、高信頼の製品・サービス提供
2024年の自動車販売台数の伸びは頭打ちが予想されているが、電子部品メーカーは間接的に恩恵を受ける可能性が高い。自動車メーカーは売り上げ拡大のため車載技術をさらに革新する必要があるからだ。特にADAS、車載パネル/クラスター、車載充電器(OBC)の分野で進展が見られるだろう。われわれ電子部品メーカーは、自動車メーカーがより多くの電子部品を発注することで、25年は期待できる。
自動車分野の売り上げはここ数年、当社の成長のとりでとなっている。同分野の売り上げシェアは23年に続き24年も通期で30%台と予想する。24年10月の売り上げは9億600万台湾ドルを記録し、1~10月では前年同期比17%増の86億2400万台湾ドルとなった。
収益の伸びは主に車載エレクトロニクス市場によるもの。当社はADAS、デジタル計器クラスター、車載充電器など多くのAEアプリケーション製品を設計しており、22年にアプリケーションエンジニアと取り組んだデザインインの恩恵を感じ始めている。
今後も車載エレクトロニクスや産機分野の市場見通しは楽観的な見方がなされているが、政治情勢の変化を受け、慎重な姿勢で見極める必要がある。特に米国の選挙結果は政策転換をもたらす可能性がある。それでも車載エレクトロニクス市場は当社の重要ターゲットであり続ける。
一方で車載以外にも当社は今後数年間、事業成長を促進する複数の新市場セグメントを考えている。その一つがAI搭載サーバー市場。AI搭載サーバーは多くの電力が必要なため、新たなビジネス分野となる。
現在、タイで新工場建設を進めている。「中国+1」に対応するもの。自動車関連顧客の多くがタイに工場を持つため、納期短縮にもつながる。25年第3四半期に試験生産を開始予定で、モジュール設計、生産を採用した。非中国・非台湾の納期戦略のサポートに加え、生産の展開は柔軟で、需要に応じた生産能力を調整可能なことが大きな特徴だ。
25年は慎重に市場動向を見極めながら、製品に付加価値を付け、生産工程と設備投資を最大化し、信頼できる製品とサービスを顧客に提供していく。