2025.01.09 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2025年の経営戦略 双信電機 杉山雅彦社長
杉山 社長
ノイズ測定事業拡大で社会貢献
2024年度(12月期)は、下期からの受注回復を予想していたが半年ほど遅れている。25年度の展望は、1Q(1~3月期)は緩やかな回復が進み、2Q(4~6月)頃から予想したラインに戻ってくると思う。25年度通期売り上げは前期比十数%増を見込む。
パワーエレクトロニクス事業の成長ドライバーとして最も期待しているのは、半導体製造装置や工作機械向けのノイズフィルターやコンデンサーなど。情報通信事業は、車載用厚膜印刷基板は安定しており、LIB向けヒューズ用厚膜印刷基板は少し落ち込んでいるが25年度にはコストダウンの推進や新製品の投入で回復基調になっていく。
積層誘電体フィルターは、24年1月からLTCC事業部として切り離した上で、親会社の台湾ウォルシン社の高周波部品の事業部が統括し、一人のトップのもとで事業を展開する形とした。両社の協力による技術開発や製造戦略などを進めている。工場の相互活用などにより、グローバルのプレゼンスを向上させていく。積層誘電体フィルター用材料はコストダウンと性能向上が図れる材料開発が進んでおり、これを25年から量産化したい。
25年は米国トランプ政権誕生などもあるが、世界経済が不安定でも実需は回復していくと思う。特に半導体製造ラインの能力アップなどによる部品需要けん引を期待する。AI(人工知能)の進展も最新の半導体製造装置需要を促進する。鉄道関連、宇宙関連、防衛関連は24年度も安定していたが、25年度も拡大できると考えている。
現在は新規の工場増設の予定はない。積層誘電体フィルターはウォルシンが大きな生産能力を有しており、これを有効活用する。
25年の事業別戦略は、LTCCはウォルシンとの協業が本格化しており、今後も両社一体での取り組みを進める。パワーエレクトロニクスは、次の市場立ち上がり時期に向け、L/T改善などの準備を進める。情報通信は、積極的なコストダウンと技術開発によりシェア確保を狙う。ノイズ測定事業も拡大させていく。
当社の存在目的は「ノイズの無い世界を作る」。これにより、環境貢献を含めた社会貢献に努めていく。