2025.01.09 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2025年の経営戦略 NKKスイッチズ 大橋智成社長
大橋 社長
2024年は厳しい年だった。当初は4月ごろからの需要回復を予想していたが、市場在庫過多による調整局面が継続し、需要回復時期先送りが続いた。
現状では25年度にはこの状況が解消されるといわれている。一方、米中摩擦や米国関税政策の行方、地政学リスクの高止まりなど、不透明な要因も多い。
現在、25年度からスタートする次期中期経営計画策定に向けた議論を進めている。
当社は21年に、10年後の30年のありたい姿に向けた新たなグループビジョン「私たちが笑顔となり、お客様の困りごとを顧客目線で解決する真のパートナーとなります。」を策定した。
このグループビジョン実現のため、3回の中期経営計画(3カ年)を実施する。22年度からの最初の中計では、足元の基礎固めをする期間と位置付け、新たな行動理念に「信頼し、信頼される良い会社」を制定するとともに、特に「信頼」と「納期」を重点テーマに3年間取り組んできた。まだ数字的には満足いくものではないが、社員がこの方針に沿って行動に移してくれた。今後も「信頼」と「納期」の取り組みは継続する。
そして25年度からの次期中計は、この基礎の上に花を咲かせるための機能を拡張する、ということが基本的な考え方となる。一番重視するのは、「顧客価値をいかに上げていくか」ということ。顧客がNKKの提供する製品やサービスに感じる価値を高め、それにより最終的に当社の企業価値向上につなげていきたい。
そのためには、顧客のニーズを見つけ出すことが重要。顕在ニーズに加え、潜在ニーズを引き出し、それに対応できれば、必ず価値向上につながると思う。
当社はこれまで71年間、接点技術や機構技術などを積み上げてきたが、製品はスイッチに特化してきた。今後は顧客の困り事に対し、培ってきた技術を活用することで、スイッチ以外でも対応していく。当社のみで対応できない場合は、それが可能な企業とタイアップする。協業により、1+1が3や5になるようにしたい。こうした協業の取り組みは既に始まっており、今後も案件を増やしていく。