2025.01.09 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2025年の経営戦略 北陸電気工業 下坂立正社長

下坂 社長

新規顧客開拓・新規製品に力

 2025年の業界の懸念は自動車市場の元気がなくなってきていること。中国系EV(電気自動車)の攻勢で欧米系自動車メーカーなども苦戦している。長期ではEV市場は成長すると思うが現在は踊り場。産業機器や民生機器も回復がやや遅れている。25年は市場環境変化要因が多い。米トランプ新政権での政策変更も気になる。事業計画を立てにくい一年になりそうだ。

 新規顧客開拓や新規製品を強化することで25年度も増収増益を目指したい。今後も新しいマーケットへの拡販を強化する。具体的にはCASE、IoT、DX/GX(グリーントランスフォーメーション)などがターゲット。電動車向けはHEVやPHVを含めて展開する。「新顧客・新分野・新製品」への活動を強化し、稼ぐ力を上げていく。

 分野別では、パソコンはWindows10のサポート終了を控え25年度上期は生産増が見込まれる。AIの普及でデータセンター市場が拡大しているため、HDD用部品にしっかり取り組む。エアコンは25年も期待している。環境に配慮した製品にも力を注ぐ。

 産機関連は現在が底で、25年度は今期よりは回復すると思うが、23年度の水準までは届かないと思う。民生機器は25年夏ごろからの回復を予想する。

 海外生産拠点を中国とASEANに展開しているが、基本的に中国市場向け製品は中国で製造し、ASEANでの生産拡大を進めている。タイでは第3工場が稼働し、マレーシアでも生産品目を拡充している。インドネシアでも24年6月に協力工場での生産が始まった。日本でも効率向上のための設備更新を進める。インド展開にも力を入れる。24年にインド国内でローカルスタッフを雇用し、シンガポール販社のスタッフと共同で市場開拓に取り組んでいる。

 システムソリューションビジネスにも力を入れる。部品技術、無線モジュール、実装技術、ソフトなどを掛け合わせた提案で今後も伸ばしていきたい。

 25年度からの新中期経営計画は、明確な方向性は未定だが、「新規」への取り組みを継続するとともに、市場環境を踏まえて「攻め」と「守り」のバランスを取りながら地に足の着いた活動を推進する。