2025.01.09 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2025年の経営戦略 京セラ 谷本秀夫社長
谷本 社長
収益力回復の活動を進める
2025年3月期連結業績の目標である売上高2兆200億円、営業利益680億円に向けて取り組みを強化している。コアコンポーネント事業では有機パッケージ事業の収益性改善を目指している。また、AI(人工知能)向けの次世代ハイエンドFCBGA向けの技術開発も進め、大型化、多層化、高密度化のニーズに対応できるようにする。
電子部品事業ではKAVXに対し、京セラグループのリソースを活用して立て直しを進めている。ソリューション事業ではドキュメントソリューションやプリンティングデバイスなどの収益が改善。新規事業も進んでいる状況だ。
今年の見通しを業界別で見ると、自動車向けは日本が順調に推移する印象。海外では欧州が落ち込んでいるものの、米国は少し良くなると思う。半導体向けは横ばいの状況。再来年から再度上がってくるとみる。通信向けは微増を見込んでいる。オフィス向けは少し良くなると思う。
この状況下、今年注力する取り組みとして、収益力を回復させる活動を推進する。コアコンポーネント事業では次世代製品の開発を強化。研究開発を推進している光通信モジュールなどAI向けを強化する。
電子部品事業はMLCCの小型高容量タイプを開発することに力を注ぐ。また、シェアを高める取り組みも推進する。
ソリューション事業は、国内で導入した捺染(なっせん)インクジェットプリンターを海外でも展開していく。
AIと3Dビジョンを活用し協働ロボットを知能化する「京セラロボティックサービス」をスタートし社内の工場で稼働中だ。社外からの引き合いもあり、提案を強化する。
設備投資は2000億円を今期予定していたが、1600億円に見直した。その中でも半導体製造装置センシングなど強い分野を拡大する。
来年度稼働予定の諫早工場(長崎県)で自動化、スマートファクトリー向けの投資を推進。野洲工場(滋賀県)のラインでスマートファクトリーの設備を採用しており、これを諫早でも導入する。
ここ3年で利益が上昇してきたが、今年度は落ちる。今年はこの利益を回復させ、利益重視の経営を推進する。そのための投資は大きくなると見ている。生産性を向上させて利益を高めたい。また、電子部品や切削工具の分野は、M&Aで良い案件が見つかれば補強したい。