2025.01.11 「スピード感が桁違い」 TDK発スタートアップ、工場DXシステム近く発売へ
センスEIの新しい小型センサー(右)
【ラスベガス(米ネバダ州)=CES取材班】TDKが注力するスピード重視の経営が成果を挙げつつある。昨年7月に立ち上げたAI(人工知能)スタートアップ「TDK SensEI」(センスEI、シンガポール)が、振動や温度などから工場設備の異常を検知するIT機器を「CES 2025」で公開。ゲートウェイと小型センサーという簡単な構成で異常検知システムを導入できるようにしており、遅れがちな工場のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を支援する狙いだ。
センスEIは、TDKが2023年1月に買収を発表した機械学習を手掛ける米Qeexo(キークソ)と統合して設立。TDKが持つデバイス開発力をはじめ、AIや機械学習などそれぞれの強みを結集してシステムを開発している。
今回、CESで公開したのは、昨年4月に発表したエッジAI搭載の小型センサーによる工場設備の異常検知システムをブラッシュアップしたもの。「デバイスチームの設計・開発力が生き、デザインなどが大幅に進化している」(同社)とし、黒基調の無骨なデザインだった小型センサーが青色の細長い形状へと大幅に変化している。「これだけの短期間で製品が進化してくのは当社として珍しい」としており、センスEIがスタートアップのスピード感を重視した経営を実践していることがうかがえる。
TDKによると、工場のDX化は遅れており、目視による設備の点検が多いという。これに対しセンスEIのシステムは、小型センサーを設備に取り付けることで、振動や温度、湿度、圧力を監視。異常を検知するとパソコン(PC)の管理画面に通知してくれる仕組みだ。設備にセンサーを取り付けるだけで済むため、「簡単に工場のDX化に取り組める」と期待する。
システムは近く発売予定。幅広い工場での採用を目指していく。