2025.03.19 【日系電子部品メーカー・商社 中国台湾拠点特集】中国でワーカー賃金上昇続く 多くの都市で最低賃金引き上げ

 中国では経済成長やインフレ、労働者不足などを背景に、各都市でワーカーの賃金上昇が続く。2020年代に入り、法定最低賃金の改定頻度は減少傾向にあるが、25年も多くの都市が最低賃金の引き上げを実施した。

 中国各都市の法定最低賃金引き上げは、かつては毎年1割以上の改定(引き上げ)が実施されたが、近年は2年または3年に1度の改定に移行している都市が多く、上昇率自体は鈍化。それでも、実際の企業の支払い給与は毎年着実に増加している。また、法定最低賃金に含まれない社会保険料などの付帯費用も増えている。

 都市別では3月1日付で日系進出工場の多い広東省の各都市で改定が実施され、深圳市が従来比6.8%増の月額2520元、広州市が同8.7%増の月額2500元、東莞市が同9.5%増の月額2080元に引き上げられた。中国国内で最も高額(香港を除く)な上海市は、23年7月の改定で月額2690元となっている。

 最近では、特に沿岸部の若年労働者不足が深刻なため、法定最低賃金よりも大幅に高い金額を提示しないとワーカーの採用が難しい地域もある。そこで、中国進出の日系電子部品メーカーは生産性向上に向けた改善活動を強化し、生産ラインの自動化・省力化を通じた生産効率の向上に全力を挙げている。

 直近の中国は不動産不況に伴う経済悪化の影響から、民間企業の給与の上昇率は全体としてやや停滞気味だが、中国政府の「共同富裕」の指導方針もあり、今後も中長期で賃金引き上げが進むことが予想される。