2025.04.08 ヤマダHD、10万円台のドラム式洗濯機を投入 高機能と省スペースも武器に市場開拓
ヤマダデンキの佐野財丈社長(左)と上野社長兼COO
ヤマダホールディングス(HD)は7日、オリジナルの斜めドラム式洗濯乾燥機を発売すると発表した。高機能ながら価格を手が届きやすい10万9780円(税込み)に抑えた。消費者の声を反映した製品展開の第1弾で、プライベートブランド(PB)の事業規模の拡大に弾みをつける。
今回の新商品は、縦型洗濯機を展開していた「RORO(ロロ)」シリーズに追加。26日から、一部店舗を除く全国のヤマダデンキと同社のオンラインストアで発売する。
主なターゲットは、ドラム洗濯機を初めて使う共働き世帯や単身世帯。ドラム洗濯機は一般的にサイズが大きく、設置スペースの確保が難しいことに加えて、縦型に比べて高価格といったイメージが強かった。
こうした課題を踏まえてヤマダHDは、「サイズ」「機能」「価格」という3点をクリアできる商品を目指して開発に取り組んだ。開発には、家電量販店としての強みを生かし、集約した来店客の要望やサービスマンの声を反映。さらに製造を担う中国メーカーと直接交渉し、価格の抑制に努めた。
新商品は、洗濯と脱水の容量が9キログラム。幅約59センチメートル、奥行き約65センチメートル、高さ約100センチメートルとコンパクトなサイズ感が特徴で、洗濯機の受け皿となる防水パンに収まりやすい。一方で衣類の出し入れしやすいよう、開口部分を大きくした。
乾燥のたびに手入れが必要だった専用フィルターを不要にしたことも売りで、洗濯槽やドラムの外側などを自動で掃除する機能も備えた。衣類の種類や汚れに応じて4段階の水温と10種類のコースを選ぶことも可能だ。
東京都内で開いた商品発表会で、ヤマダHD会長室特別顧問の宮地晋治氏は「ドラム洗濯機に手が届かなかった顧客に買ってもらうことを意識したモデルだ」と強調した。
自社で企画から開発まで手掛けたり製造を委託したりするPB商品の2024年3月期売上高は740億円で、総売上高の5.8%を占めた。30年3月期には、3000億円、15.0%という事業規模に引き上げることを目指す。
上野善紀社長兼COO(最高執行責任者)は「ボトムライン中心の商品では拡大できない。しっかりとマーケティングしたものを出す。その第1弾が今回の商品だ」と力を込めた。目標生産台数は年間5万台以上。今後は、高価格帯も含めて品ぞろえを強化したい考えだ。
ヤマダHDは、今後もPB商品のラインアップ拡大を狙う。上野社長兼COOは17年に業務提携を結んだ船井電機(大阪府大東市)にも触れ、「(テレビなどを生産していた)船井に代わるものは今後考えたい」と述べた。船井は、24年10月に破産手続きの開始決定を受けた。