2025.07.07 【記録計・データロガー特集】チノー 熱中症リスクを見える化 置くだけの監視システム提供

監視システムの計測ユニット

 チノーは、事業所や工事現場などの熱中症リスクを見える化する「置くだけ熱中症監視システム」を提供している。これは計測ユニットを配置し、熱中症判断に必要な気温や湿度、輻射(ふくしゃ)熱から暑さ指数(WBGT)を算出し、警戒アラートを出す仕組みとなる。

 同システムは、リアルタイム無線ロガー「MZシリーズ」と無線ロガー受信機、集録・監視パッケージシステム「CISAS/V4」で構成する。遠隔モニタリングにより最大1000カ所の多点計測が可能。既に電力の見える化ソリューションを導入していれば後乗せもできる。

 MZシリーズの電源は電池を使用しており電池寿命は5年以上。電源の配線は不要であり、計測ユニットを置くだけ。三脚モデル、自立モデル、壁面取り付けモデルを用意し、カスタマイズにも対応する。

 WBGTは1954年にアメリカで提案された指標。人体と外気との熱収支に着目し、湿度、日射・輻射などの熱環境、気温の三つを取り入れている。熱中症警戒指数は「ほぼ安全」から「特別警戒アラート」の7段階あり、同システムはこの7段階に対応する。

 一般的な気温を示す乾球温度、皮膚の汗が蒸発する際の涼しさを表す湿球温度、直射日光下での体感温度を示す黒球温度からJIS定義の計算式で湿球温度を計算し、WBGTを算出する。

 測定精度はWBGT測定器の日本工業規格である「JIS B 7922」の精度区分クラス1.5に準拠。これはWBGTの最大誤差がプラスマイナス1.5以下となる。

 アラート検知は監視画面のアイコンと音で表示し、発生一覧や履歴表示、CSV出力が可能だ。また、ネットワーク表示灯によるランプ表示やブザー通知、メール通報に対応する。遠隔モニタリングはクラウドを通じてスマートフォンやタブレット、パソコンで行える。

 近年猛暑日が増加しており、厚生労働省は熱中症対策を6月から義務化した。環境測定や熱中症警戒レベルの管理が事業者などに求められる。同システムは対策需要を見込む。

 これまで小学校、テーマパーク、自動車製造現場、建設現場での採用実績があり、展示会では商社や化学関係、インフラ関係での引き合いもある。