2025.07.23 【TECHNO-FRONTIER特集】製品動向 ノイズ対策技術 スマホ、自動車向けなど需要高まる
AEC-Q200準拠の巻線フェライト系パワーインダクター
電子機器・システムの高機能・高性能化に伴い、ノイズ対策技術の重要性が一段と高まっている。機器の誤動作防止のためには、ノイズを出さない、ノイズに耐えられる製品の開発が求められる。TECHNO-FRONTIER2025では、「EMC・ノイズ対策技術展」を中心にノイズ対策用の最新製品・技術が広く紹介される。
5Gは高周波帯域を使用することから、マテリアルの高周波対応が必要になる。5G通信は、5Gスマートフォンなどの専用端末だけでなく、自動車や製造装置などあらゆる産業分野に波及するため、超小型タイプから大型品までさまざまなノイズ対策部品が要求される。電子部品各社は、これらに対応する新製品開発を加速させている。
スマホでは、小型のボディーに多くの機能が搭載されるため、隣接部品間の電波干渉の対策を施すことが重要。利用周波数も複数化し、5G/ミリ波と高周波化が進むため、より高度な対策が必要となる。
スマホでノイズ対策用に多く利用されているのがフェライトチップビーズ(フェライトビーズインダクター)。すでに0402サイズなどの超小型品が量産化されている。
不必要なノイズ成分となるコモンモードを除去するコモンモードフィルター(CMF)は、スマホやウエアラブル端末向けに、ノイズ除去効果を大幅に向上させた超小型の高速差動伝送用薄膜コモンモードフィルターなどが量産化されている。
最近の自動車では、車載イーサネットの搭載が進展し、さらに自動車ネットワークアーキテクチャーは、従来のネットワーク構造から、ドメインアーキテクチャー、さらにゾーンアーキテクチャーへと進化していく見通し。これらの動きに対応し、ライン間容量を低減し、効果的にコモンモードノイズを除去する車載イーサネット用コモンモードフィルターなどの製品開発が活発化している。xEVなどのモーター駆動系も強固な対策が求められる。
産業機器分野では、モーター駆動、インバーターの普及などによって、ノイズ対策の重要性が一段と高まり、コモンモードチョークコイルの搭載が広がっている。コモンモードチョークコイルは、小型で高減衰量を得るためにコアとして使用されるフェライトの高性能材質の開発が進展している。
ノイズ抑制シートは、ICのパッケージ表面やコネクター、FPCなど、ノイズの発生源や伝送路に貼るだけでノイズを抑制する製品。磁性体粉末を樹脂中に分散・混合しシート状にした構造で、製品に含まれる磁性材料が自然共鳴し電磁波エネルギーを熱エネルギーに変換することで高周波ノイズを抑制する。5Gの高周波帯域向け製品も開発されている。