2025.07.23 【TECHNO-FRONTIER特集】製品動向 電源技術 次世代パワー半導体の開発進む

AEC-Q200準拠スーパーキャパシター

 電子機器の高性能化や高効率化要求の高まりを背景に、電源技術が高度化している。電子部品各社は、自動車、産業機器、モバイル端末などの成長分野に照準を合わせ、電源および電源用部品の技術開発を推進する。TECHNO-FRONTIER2025の「電源システム展」では、さまざまな企業が、最新の電源技術やパワー系デバイス技術を紹介する。

 自動車分野では、電動車の台頭で、モーター制御のためのインバーター、DC-DCコンバーター、車載充電器などの開発が加速している。振動、衝撃、温度などの耐環境性能向上や小型・軽量で高効率などが求められる。また、ADAS/自動運転技術の高度化に伴い、ECUの搭載が増加し、その電源回路の小型・高信頼性化も要求されている。

 太陽光発電パワーコンディショナーには絶縁型と非絶縁型があり、従来はアナログ制御の非絶縁型が多かったが、最近はDC-DCコンバーターの制御にデジタルを用いた技術が採用され、小型、軽量、高効率、高信頼でコストパフォーマンスに優れた製品が増加している。

 スマートフォンやIoT端末などの分野では、各種半導体デバイスを駆動するための超小型のDC-DCコンバーターモジュールが搭載される。

 電源を構成する電子部品の小型・低背化技術も進展している。スイッチング素子や整流素子は、ハイパワー化、高耐圧化に向けて、シリコン(Si)に代わり、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を用いたパワー素子の開発が活発。SiCデバイスやGaNデバイスは、シリコン製に比べ耐高温・高電圧特性や大電流特性に優れ、電力損失の大幅な低減が可能。モジュールの軽量・小型化と高効率化を実現するパワーデバイスとして注目されている。

 第3の次世代パワー半導体として酸化ガリウム(Ga₂O₃)パワー半導体開発も進む。酸化ガリウム半導体は、結晶の成長速度が速いため、製造コスト削減が見込まれる。ダイヤモンドを用いた次世代パワー半導体にも注目が集まる。

 制御回路では、マイコン、DSPの進化により、デジタル制御方式を採用した電源の開発が進む。

 アルミ電解コンデンサーは、小型化、長寿命化、高耐熱化、高電圧化の追求が進展。需要が急増する導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサー(ハイブリッドコンデンサー)の新製品開発や生産能力増強の動きも活発化している。

 スイッチングトランスは、低損失フェライトコアの最適設計により、小型・薄型・高効率化に向けた開発が進んでいる。コイルは、フェライトコアやアモルファスコア、さらにはメタル系など磁性材料を使い分けることで最適な製品が提案されている。