2025.07.25 【半導体/エレクトロニクス商社特集】伯東 競争力強化へ〝価値の種〟育てる

宮下 社長宮下 社長

 伯東は電子部品、電子・電気機器、ケミカルの主要3事業を展開する。2024年度の売上高は電子部品が若干減少したものの、全体では前年度並みを確保した。25年度からは新中期経営計画(期間4年)がスタート。目指すビジョンの中に「イネーブラー(何かを起動する人)」を取り入れた。顧客の潜在的課題に切り込み、解決のきっかけを生み出すという意志を込める。

 宮下環社長は「お客さまとの接点を増やし、深くする。電子部品では顧客別の営業体制を新たに構築し潜在的なニーズをつかむ。マーケティング部門が深くニーズを把握する。〝タテ〟と〝ヨコ〟のハイブリッド体制で地道に強化していく」と説明。電子・電気機器は専門性をベースにポートフォリオ拡大を図る。

 事業戦略にソリューションの複合化を掲げる。半導体後工程におけるパッケージングは注目が集まる技術。この領域で自社ブランドを含む複数の商材に、導入支援や保守DXサービスを組み合わせる。

 エレクトロニクス、ケミカル、分析の各技術を組み合わせた「AI(人工知能)泡検知システム」にも期待を寄せる。工場排水の泡をカメラとAIで自動検知・分析し、状況に応じて薬剤を自動投入する仕組みだ。

 宮下社長は「この4年間、無線通信やセンシング、画像認識などを組み合わせたソリューションを開発してきた。売り上げにつなげるアクションを強化する」と意欲を示す。4月にはビジネスインキュベーションセンターを新設し、約40人の人員を部署異動し、新規事業の専任組織化。領域横断でソリューション創出と事業立ち上げを加速させ、中長期の競争力につながる〝価値の種〟を育てる。

 23年7月に立ち上げた熊本サービスセンターは、製品や設備ともに取り扱いが増え、エンジニアは当初の2人から6人に拡大。さらなる増員も見込む。

 海外は新たにインドでの事業展開を開始する。主に北インドでは規制により排水の100%再利用が義務付けられており、日本人技術者が手がけた高品質な排水処理システム・自社製排水処理剤を組み合わせてソリューションを提供する。