2025.07.25 【半導体/エレクトロニクス商社特集】リョーサン菱洋HD 事業会社統合へ改革、生成AIサービスを加速

中村 社長中村 社長

 菱洋エレクトロとリョーサンが経営統合し、昨年4月に発足したリョーサン菱洋ホールディングス(HD)は、2025年度を改革施策の推進局面と位置付ける。「お客様接点(量と質)の拡大」に向けて、営業、人事、ITが重要なテーマとなる。

 営業改革に関して、中村守孝社長(菱洋エレクトロ社長)は「長年の課題をいま一度直視して綿密な準備と科学的なアプローチをもとに進めており、手応えはかなりある」と自信を見せる。営業改革は菱洋エレクトロが先行した。昨年6月に社長直轄の営業改革推進事務局を結成。新規案件獲得を前提に課題を洗い出し、営業とロールプレーイングの通称「営業虎の巻」を作成、まもなく「技術虎の巻」も完成する。現在はリョーサンでも営業改革を展開している。

 両社の足並みをそろえるために、事務局にはリョーサンからメンバーを入れて新たにチームを結成した。このチームは営業改革推進のための企画スタッフ、次世代幹部の育成の場。今後のIT改革推進も担い、事業会社統合に備える。

 外部環境の変化に左右されない収益構造の構築を重視する。トランプ関税の影響に関しては「外部環境はコントロールできない。情報を集め、常に最悪のシナリオを想定しながら海外戦略を練る」(中村社長)構えだ。

 生成AI(人工知能)サービスは加速させていく。菱洋エレクトロでは昨年10月に生成AI導入を検討している企業向けにサポートプログラムを開始した。

 中村社長は「生成AIはニーズがあり、成長市場。エヌビディアなど多くのサプライヤーとの長い取引関係という優位性があり、リソースを集中的に投入した。利益も見込める。導入したいお客さまとAI開発パートナーをつなぐ、それが本当の商社の役割」と説明。顧客支援拡充のためにコンサルティング機能は強化していく。

 事業会社統合は早ければ26年4月を視野に入れる。中村社長は「シナジーの具現化、管理部門の効率化、事業所の最適化など、ハードルは多い。課題を明確化し、トライ&エラーを繰り返すのみ」と語り、早期の統合を目指す。