2025.07.30 ソフトバンク、森林保全支援で40億円超寄付 消費者参加型の植樹プログラムも

森林保全の支援について発表する宮川潤一社長=30日、東京都港区

森林保全活動に期待を寄せた浅尾慶一郎環境相森林保全活動に期待を寄せた浅尾慶一郎環境相

各県の首長ら関係者が一堂に会した各県の首長ら関係者が一堂に会した

 ソフトバンクは30日、全国の森林保全を支援する「日本森林再生応援プロジェクト」を始めたと発表した。企業版ふるさと納税の制度を活用して、46道府県と東京都八王子市に総額で40億円超を寄付する。同時に、消費者の環境行動に応じた植樹で脱炭素に貢献するプログラムも立ち上げた。 

 寄付金は2025年から40年までの15年間の森林保全活動に充当。全額を植樹に充てた場合、約180万本になる。植樹の面積は約600ヘクタールに達する見通しだ。日本の森林は国土の約7割を占める一方、樹木の高齢化が進行し、二酸化炭素(CO2)吸収量が大きく減少。樹木によるCO2吸収量は23年までの10年間で26%減少しており、計画的な対応が求められていた。

 さらに同日から、「NatureBank(ネイチャーバンク)」と銘打つ消費者参加型の植林貢献プログラムも開始した。対象は、同社とグループ企業が提供する全16のサービス。ユーザーは普段通りに各サービスを利用するだけで、環境保全に貢献できる仕組みを整えた。

 同プログラムの期間は、30年7月まで。こうした「エコアクション」で抑制されたCO2排出量に応じて、同等のCO2吸収量に相当する植樹を同社が実施。5年間で累計約35万本の植樹を想定しているが、環境行動の広がりを踏まえてさらに植樹を行うことも視野に入れている。

 例えば、現金取引からスマートフォン決済「PayPay(ペイペイ)」に変えると、7割のCO2削減効果が得られる。ブランド古着を扱うEC(電子商取引)サービス「ZOZOUSED(ゾゾユーズド)」の利用もCO2削減につながる。環境行動の進捗や森林保全の成果は、特設サイトやLINE公式アカウントを通じて可視化し、参加者の意識向上につなげたい考えだ。

 東京都内で同日に開かれた発表会で、同社の宮川潤一社長は「電気通信事業者、AI(人工知能)を推進するインフラ企業として、エネルギーを使って今後も活動しなければならない。だからこそ、再生可能エネルギーの開発やCO2削減プロジェクトにも責任を持って取り組む」と意欲を示した。

 浅尾慶一郎環境相はあいさつでネイチャーバンクに触れ、地域の資源を最大限に活用しながら環境・社会・経済の同時解決を目指す「地域循環共生圏」の実現を後押しする取り組みとして期待を寄せた。その上で、「環境を企業経営戦略の本丸に据えて推進する企業の取り組みこそが原動力となる」との認識も示した。