2025.08.29 【ソリューションプロバイダー特集】内田洋行 大久保昇社長

データ連携基盤強みに

各事業部門が一体で取り組む

 2024年7月にスタートした27年度を最終とする第17次中期経営計画は売り上げ3400億円、営業利益115億円を目標に掲げた。第16次中計から掲げてきた「人」と「データ」の時代に向けた働き方変革と学び方変革の支援をさらに加速するために、オフィス(企業)、公共(学校・自治体)、情報の各事業部門が一体となって取り組む体制を整えて展開している。

 GIGAスクールやウィンドウズパソコンの更新特需のあった21年度に業績が過去最高となって以降は、当社の基盤事業(ベースライン)を着実に上げる施策を打ってきた。足元の状況を見ると全国自治体で進めるガバメントクラウドへの移行対応をはじめ、オフィスリニューアル案件が増加し好調に推移している。ネクストGIGA(GIGAスクールの更新)も動き始めている。学校間のネットワーク構築も進み、中計初年度は売り上げ、利益ともに過去最高を更新する見通しだ。

 長年推進してきた働く現場と学ぶ現場の変革も進展してきた。

 当社は自治体や教育機関のネットワーク基盤の構築を進めている。文部科学省のコンピューターテスト(CBT)の仕組み「MEXCBT(メクビット)」の構築支援をはじめ、グループのオープン・アセスメント・テクノロジーズ(ルクセンブルク)のCBT基盤も持つ。4月に中学3年100万人規模の理科の試験をCBTで実施し、AIによる採点も取り入れるなど実証を進めた。今後科目を増やす計画だ。

 学校向けでは学習用ポータル「L-Gate」を展開。全国1万2000校がメクビットに接続し利用している。自治体データとの連携にも取り組み、神奈川県開成町と、自治体データと学校データを連携させた「こども見守りシステム」の運用も始めた。自治体でも学校でもデータを連携できる仕組みを構築しつつあり、こうした基盤を横展開したい。

 企業ではコロナ禍を経て働く環境を見直す動きが活発化し、オフィスリニューアルの案件が増えている。クラウド型会議室予約・運用管理サービス「スマートルームズ」の利用も拡大し、現在は600社2万室で活用されている。

 時間や場所にとらわれず柔軟に働けるハイブリッドワークを実現する「スマートオフィスナビゲーター」の採用も進み、大手企業の大規模な導入事例も出てきた。フリーアドレスとさまざまなデータ連携を実現できる環境をワンストップで提供できる強みを打ち出していきたい。

 当社は自治体でも、学校でも、企業でも、どの領域でもデータを活用するためのプラットフォームを持っている。この強みを生かし、中計2年目も各事業部門が連携し成長を継続させる。