2025.12.15 米GFと独シーメンス、半導体製造の高度化で協業 設計から生産管理まで自動化

協業で調印するシーメンスデジタル産業部門のセドリック・ナイケCEO(左)と、GFのティム・ブリーンCEO

ニューヨーク州マルタにあるGFの本社工場ニューヨーク州マルタにあるGFの本社工場

 半導体受託生産サービスの米グローバル・ファウンドリーズ(GF)とドイツのシーメンスは、AI(人工知能)を使って半導体設計から生産管理までを一貫して効率よく行うため、製造技術の確立で協業することに合意した。

 今回の協業を機にシーメンスは、得意とするEDAツール(電子設計自動化)、製造技術や工場の自動化向け先進デジタル化の技術を持ち寄る。GFは、顧客の注文に応じた半導体の開発と製造を可能にする独自の半導体プロセス技術を使って、顧客からの製造委託に対応できる体制を敷く。両社の技術を統合することで、信頼性が増大するとともに、製品の納入期間の短縮が図れるとしている。

 近年、AIやロボット、自動車、防衛機器、エネルギー管理などの分野で高品質半導体の需要が急激に伸びている。このため両社は、急速な需要の獲得や厳格なセキュリティーの確保、信頼性に富んだ半導体の供給に向けて、業界の垣根を越えて協業することになった。特にシーメンスの自動化技術は、さまざまな産業界で評価が高まっているのが現状だ。

 GFは、シーメンスの先進のAI対応ソフトやセンサー、リアルタイム制御システムなどを自社の工場に導入し、信頼性ある半導体製品を供給していくことで、顧客の信頼を確立したいとしている。シーメンスの自動化技術を導入することでGFは、製造ラインの中央制御化を進めるとともに、センサーなどを活用して故障の兆候などを事前に検知する予知保全が可能になる。

 GFのティム・ブリーンCEOは「シーメンスとの協業により、次世代機器への応用に対し迅速で差別化されたエネルギー効率に富んだ半導体生産が可能になる」とコメントした。一方、シーメンスは「今回の協業は世界の半導体サプライチェーンをより一層強靭(きょうじん)にするものだ」(デジタル産業部門CEO)との見方を示している。