2025.08.29 【ソリューションプロバイダー特集】データセンター 生成AIが追い風に急拡大 国内市場、28年に5兆円突破へ

 クラウドサービスの拡大や本格化する生成AI(人工知能)を追い風に、データセンター(DC)市場が急拡大している。IDC Japanによると、国内のDCサービス市場は、2028年には大台の5兆円を突破する見通しだ。近年、ハイパースケールDCの建設が相次いでいる。一方、電力供給面など懸念材料もあり、省電力秘術の開発も喫緊の課題となっている。

 ガートナーは、25年には世界のDCの市場規模は23年比1.7倍の60兆円規模になる、と予測する。一方、国内のDC市場も急拡大を続けており、IDC Japanでは、DCサービスの市場規模を、23年の2兆7361億円から28年には5兆円の大台に乗り、5兆812億円となる、とみている。

 こうしたDCサービス市場拡大を背景に、DCの建設ラッシュが続いている。IDC Japanによると、国内事業者DCの新設は、28年には1兆円を超えるとみる。特に26年以降に特に大きく増加する見込みだ。要因としてハイパースケールDCの相次ぐ増設がある。

 ハイパースケール型DCは、大規模な処理能力と大容量ストレージを持ち、5000台以上のサーバーを格納できる施設などを指している。またクラウドサービス拠点として、関東、関西地区や北海道で建設ラッシュとなっている。

 米大手IT企業が、クラウドサービスやAI開発の基盤となるDCへの投資を本格化させている。グーグルは、千葉県印西市に環境対応を強化した大規模DCをいち早く開設したが、地方への展開を視野にDC整備を進める。AWS、マイクロソフト、オラクルなどの米大手外資が合わせて約4兆円を今後、DCなどに投資する計画だ。

 グローバルにDC事業を展開するエクイニクスは、昨年10月に都市型とハイパースケール型に対応した新DCを、東京都品川区に建設した。同社は、利便性の高い都心の都市型DCとハイパースケール需要に対応したハイパースケール型DCの二つのポートフォリオでDC事業を展開しているが、新DCはこの両方に対応している。

 近年、関西地区でもDC建設が相次いでいる。関西地区は、首都圏に次いでDC市場が急拡大している。NTTコミュニケーションズが、関西地区で最大級のDCを開設している。また、世界有数のDC運営会社のCyrusOne(サイラスワン)と関西電力の合弁会社関西電力サイラスワンが、昨年9月に日本で第1号となるDC建設に向けて土地造成を開始した。ハイパースケール型DCとして、関西地区のDCの主要拠点であるけいはんな地区に位置し、48MWのうち最初の16MWは28年第1四半期までに稼働を開始する予定だ。

 世界のDC市場で、NTTグループは、世界シェア3位、NTTデータは、国内シェア1位の実績を持つ。NTTデータは、現在、国内に11拠点のDCを保有している。26年2月に京阪奈DC、27年3月に白井DCを竣工(しゅんこう)予定だ。

 安定した土地と冷気を確保できる北海道は、DCにとっても好条件がそろっている。国内企業として唯一、ガバメントクラウドに認定されているさくらインターネットは、石狩市に再生可能エネルギー100%の石狩DCを開設している。石狩の冷気を活用した空冷方式で、一般的な都市型DCと比べ、消費電力を約4割削減している。同社は、水冷式コンテナ型DCも建設の計画で27年度までに総事業費約1000億円を投入、総GPU数1万基により、生成AI向けクラウドサービスを提供する計画だ。

 京セラコミュニケーションシステムが、北海道石狩市に建設した「ゼロエミッション・データセンター石狩(ZED石狩)」は、常時再エネ100%を使用するDCとしては国内で初めてだ。

 洋上風力発電など地域の豊富な再エネ電源と太陽光発電、さらに蓄電池とAI技術を活用し、カーボンフリーを実現。生成AIに対応したGPUサーバーの高熱を冷却するため、冷涼な外気を確保できる石狩市の気候を生かした外気冷房空調方式を採用している。

 北海道では、ソフトバンクが、苫小牧市に国内最大級のDCを建設、26年度に完成を予定している。

 DCの脱炭素、省エネ化の動きが活発化している。大手DC事業者のアット東京は、ハウジングサービスなどに使用する電力を、実質再エネ100%で提供している。

 インターネットイニシアティブ(IIJ)では、松江DC、白井DCCでカーボンニュートラルDCリファレンスモデルを提唱している。また、白井DCC利用者への脱炭素化推進を支援する取組みとして、非化石証書の直接調達を開始し、24年度から商用化に踏み切った。さらに今年の6月、白井DCCの3期棟建設に着手した。26年度中の運用開始を予定している。

 キヤノンマーケティングジャパンはITサービス強化でDCに注力。新設の西東京DCの2期棟が満床状況で、3期棟目建設も視野に入れている。新たに昨年12月から高性能サーバーなどの液冷方式冷却サービスを開始した。

 冷却サーバーでは、NTTコミュニケーションズでも冷却方式のサーバー機器に対応した超省エネ型DCサービスを24年度内の商用化を目指している。

 また、三菱重工業とNTTコム、NECネッツエスアイは、既存設備を大幅に改造することなく、DCの冷却能力を高める実証実験を12月から開始した。

 DCは、省電力化が大きな課題だ。DC内のAIサーバー向け電力量は、28年末には現在の3倍強になる(IDC Japan)。冷却技術の開発やコンテナ型DCの普及も急がれている。