2025.10.01 電子部品の世界出荷、7月は2カ月連続プラス アジア向け堅調 JEITA
電子情報技術産業協会(JEITA)が9月30日に発表した7月度の電子部品グローバル出荷額が前年同月比1.5%増の4054億円となり、微増ながら2カ月連続で前年同月比プラスとなった。市場別出荷ではASEANを含むアジア・その他が成長をけん引した。
7月度グローバル出荷の分類別では、「受動部品」が前年同月比8.3%と増加したが、「変換部品」は同2.6%減、「接続部品」は同6.2%減、「その他の電子部品」は同6.5%減となった。地域別では、その他・アジアが同7.0%増、米州が同3.4%増となったが、それ以外の地域は横ばいから微減となった。
製品別では、コンデンサ―が同8%増、抵抗器が同8%増となったのをはじめ、受動部品はいずれも前年同月比プラス。一方、スイッチは2桁の減少となった。
電子部品グローバル出荷の前年同月比増減は、2020年序盤はコロナ影響で停滞したが、同年9月以降は前年同月比プラスに転換。巣ごもりや車載の需要などが回復を支えた。
21年は、産機や自動車、ハイエンドスマートフォンなどが部品需要をけん引したほか、部品ユーザーのBCP(事業継続計画)在庫の積み増しも受注を押し上げた。22年も前半は堅調に推移し、この結果、電子部品グローバル出荷は22年3月まで19カ月連続で前年同期を上回った。
22年後半以降は、中華系スマホの想定以上の落ち込みや、ノートパソコン(PC)、タブレットなどの不振が部品受注を停滞させた。半導体不足による自動車減産も継続。22年末以降は産機市場での在庫調整も広がった。23年も前年後半からの流れが継続し、調整局面が続いた。車載は比較的堅調だったが、産機・ICT関連は年間を通じて厳しさが継続した。
24年も産機・設備投資関連は低迷が続いたが、北米スマホ需要は堅調に推移。中国でのスマホやノートPCなどのICT関連も調整一巡により回復の動きとなった。AI(人工知能)サーバーやデータセンター需要の増大も、関連部品の需要を拡大させ、為替の円安進行も日系電子部品メーカーの出荷金額を押し上げた。この結果、24年度累計の電子部品グローバル出荷は前期比3%増となった。
直近の電子部品市場は、BEV(バッテリーEV)市場の低迷や日米欧での新車販売の停滞が続いているが、長期の調整局面が続いていた産機関連はやや回復傾向となり、AIサーバー関連需要は堅調が継続している。円安も日本の電子部品企業には追い風となっている。一方、米トランプ政権による相互関税政策や米中貿易規制への懸念などが、先行きの市場環境への不透明感を強めている。特に、企業の設備投資抑制や、米追加関税を踏まえた部品ユーザーの前倒し発注の反動による今後の電子部品グローバル市場への影響が懸念されている。
7月度の電子部品国内出荷額は前年同月比0.2%増の918億円となり、微増ながら8カ月連続で前年同月比プラスとなった。