2025.10.01 パナソニック 小型高濃度ファインバブル発生装置、神戸高専と共同開発 11月発売のシャワーヘッドに搭載
パナソニックと神戸高専が共同開発した小型高濃度FB発生デバイス
パナソニックは、小型高濃度ファインバブル(FB)発生デバイスを開発し、11月上旬に発売するファインバブルシャワーヘッド「FINE VEIL(ファインベール)」EH-SH50に搭載している。神戸市立工業高等専門学校機械工学科の鈴木隆起教授との共同研究で開発したもので、ファインバブル産業会(FBIA)のマイクロバブル性能評価「クラス4d」(気泡濃度数1万/ml~10万/ml、気泡径10 μm~100 μm)を業界で唯一獲得している技術だ。
FBは直径100 μm未満の微細な気泡の総称で、表面がマイナスに帯電しているため、異なる極性の物質を引き付け、同じ極性の物質を反発させる電気的相互作用を持つ。
また、油性物質を表面に集める疎水性相互作用や、気泡の消滅時に発生する衝撃波による圧力変化など、さまざまな作用が研究され、洗浄効果や美容・健康分野で注目されている。
FBの発生手法の一つとしてベンチュリ構造が用いられているが、高濃度の気泡を発生させるほど流路抵抗が増し、圧力損失による流量低下が課題だった。
今回開発したFB発生デバイスは、ベンチュリ管の入口部に球体を設置する独自構造を採用することで、水流速度を高めつつ圧力損失を抑制。内部構造の精密設計により、FBの発生効率を大幅に向上させ、流量低下を防ぐことに成功した。
水流モードの切り替えにより、ウルトラファインバブル(UFB)とマイクロバブル(MB)のバランスを調整できるため、目的に応じたFB数の発生も可能だ。
FBの美髪効果についても検証を実施した。水道水に含まれるカルシウムなどの金属イオンは、毛髪表面に吸着してトリートメント剤の浸透を阻害してしまう。UFBは、金属イオンによるトリートメント剤の浸透妨害を低減するとともに、その吸着を促進する効果が検証で認められた。
モニター評価では、開発したデバイスを組み込んだシャワーヘッドに切り替えることで、「まとまり感」「やわらかさ感」「つや感」などの実感効果が得られ、ヘアケアの品質向上に寄与する技術として評価された。
神戸高専の鈴木教授は、「ベンチュリ管によるFB生成は一般的だが、シャワーヘッドなどの小型機器で圧力損失の低減と高濃度のFB生成を両立させる最適な形状は明らかになっていなかった」とし、「研究では、数値流体解析を用いFBの発生現象と生成量の関係を明らかにし、独自構造で従来にない高濃度FBの生成に成功した」とコメントを寄せた。