2025.10.03 エプソン、拡張現実時代の車載HUD向け半導体、ローカルディミングに初対応
「S2D13V43」は高解像度の車載HUD向けコントローラーIC
セイコーエプソンは高解像度の車載ヘッドアップディスプレー(HUD)向けに新たな制御用集積回路(コントローラーIC)「S2D13V43」のサンプル出荷を開始した。HUDが内蔵する液晶ディスプレーのバックライトを部分的に制御し映像のコントラストを向上させるローカルディミングに同社製品として初めて対応。映像の視認性向上はもちろん低消費電力化に貢献するという。
自動車のフロントガラスに走行速度やナビゲーションなどを表示する車載用HUDは、少ない視点移動で運転に必要な情報を直感的に得られ、安全性の向上や疲労軽減の効果が期待できるとして海外を中心に増加。今後も需要拡大が見込める。拡張現実(AR)技術を生かし、進行方向ナビゲーションの矢印や道路標識、警告などを実際の風景に重ねて表示する「AR-HUD」も登場して高解像度化が進むが、視認性や消費電力が課題となっている。
S2D13V43は車載システム・オン・チップ(SoC)がストリーミングを行う2K解像度、フレームレート60fpsの映像データに対応し、外付けメモリーなしでフロントガラスの曲面に合わせた歪み補正を行う。ローカルディミングで映像を解析し、表示内容に合わせたバックライト制御が可能だ。
同社の既存HUD向けコントローラーICと同じくピッチ補正や表示安全の機能も備える。車載用電子部品の信頼性に関する規格として「AEC-Q100」に準拠し、動作温度は最高105℃。自動車の電気・電子システムを含む製品を対象に故障発生時などのリスクを低減する機能安全に関する国際規格「ISO26262 ASIL-B」への準拠も予定する。