2025.10.07 日本IBMが「The Game」で学べる機会 半導体のリアルを体験
グループでカードを使いながら議論した
日本IBMは、世界初のカードで学べるシステム・オン・チップ(SoC)設計教材「The Game」を開発し、人材育成の一環として活用している。9月中旬には、「The Gameスペシャルセッションat 虎ノ門」と題する体験会を開催。当日は学生のほか、金融機関のビジネスパーソン、自治体職員、Youtuberなど多数が参加した。
The Gameは、半導体製品開発のリアルを楽しみながら学べる教材。パソコンなどは使用せず、カードを用いて製品開発の流れを体験することができる。文理選択前の中学2年生からSoCについて学べる平易な説明と仕組みで構成されており、ゴールは誰もが知っているエンドユーザー向け製品のSoCアーキテクチャーを完成させること。複数名のグループに分かれ、最終製品に組込む機能やそれに必要なSoC設計などを実際の設計開発と同じ流れで検討していく。
The Gameは、SoC設計やそれに関わる半導体関連の講義を行ったのち、グループでカードを使いながら議論、講義と実習を繰り返しながら設計開発を進めていく。通常では2日間を要するが、今回は3時間で体験できるようアレンジ。要求解析、要件定義、概略設計の工程に限定して実施した。
講義では、半導体の種類や半導体業界で使用する用語などの解説も交えながら、設計開発の流れを説明。それを受けてグループで議論しながら、最終製品で必要となる機能など要件を固めていった。通常版ではよりリアルな現場を追求し、コスト要求やトラブルなども発生する。それらの事案に迅速に対応する必要があり、現場で求められる決断力なども学ぶことができる。
日本IBMで最高技術責任者を務める坂本佳史技術理事は「The Gameは昨年11月に北九州で初めて実施した。今回は業界を問わず年齢も立場も違う人達が一緒に参加し、半導体の設計開発のみならずコミュニケーションの取り方や業務の進め方など、さまざまなことを学んだ。今後は有料での提供なども視野に入れ柔軟に対応しつつ、幅広くThe Gameを体験して欲しい」と話す。
今回の体験イベントは、AIST Solutions、OpenSUSI、三菱UFJ銀行、RISE-Aなどが協賛した。