2025.10.09 島津製作所が複合劣化促進ユニット発売 数時間から約2日で材料ごとの劣化具合を比較

説明する島津製作所の長谷川博士

コンパクトな複合劣化促進ユニット「CDAS-1000」コンパクトな複合劣化促進ユニット「CDAS-1000」

 島津製作所は、材料の耐久性や寿命の予測を支援する複合劣化促進ユニット「CDAS-1000」を発売した。ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)やフーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)などと併せて材料の劣化評価に用いる世界初の前処理装置。プラスチックなど新素材の研究開発を効率化する。

 新製品は、劣化過程で発生するガスの成分や材料の表面状況を、関連機器を用いて劣化の指標となる成分を検出。劣化の仕組みの解明に有用な情報を獲得する。装置内部の容器に密封したサンプルに光源で照射しながら劣化を促進し、GC-MSで発生するガスを、FTIRで劣化するサンプルの表面を評価する。

 特徴は、数時間から約2日の試験でも材料ごとの劣化具合の比較ができること。劣化試験で発生した成分や試験された材料を、各種分析装置で調べることで、「劣化指標となる成分の発生」や「材料の分子構造の変化」といった劣化の兆候を高感度に検出できる。また、加温や飽和湿度の負荷を与えることも可能だ。

 装置の大きさは幅 420×高さ655×奥行634 mmの卓上サイズ。通常の実験室の作業台に設置できる。希望販売価格は1100万円 (税込み)。樹脂系の新素材を開発するメーカーや研究機関などに提案。1年間で20台の販売を目指す。

 同社分析計測事業部技術部新事業開発推進グループの長谷川雪憲医学博士は、新製品について「劣化の兆候を読み取ることができるのが強み。また、ガスを分析する装置などと組み合わせシステムとして活用できることも特徴。短時間での評価ができ、劣化試験の効率化が図れる」と述べた。