2025.10.17 「RNAテック」で自分の肌を把握 花王が美容・健康分野に新風
RNAの発現情報を基に肌タイプを推定できる=千葉市美浜区
スマートフォンで素顔の写真を撮影するだけで、皮脂中に含まれるRNA(リボ核酸)の発現情報に基づく肌タイプを素早く推定できる――。そんなモデルを構築した花王が、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催中のデジタルソリューションの総合展示会「CEATEC 2025」で存在感を放っている。「RNAテック」を体験する機会を用意し、来場者の関心を集めている。
RNAは、体調や食生活、運動、ストレス、紫外線といった環境要因によって日々変化するため、その時々の肌や体の状態を知るのに有用と言われている。同社は2019年に皮脂中にRNAが存在することを発見し、あぶら取りフィルムで肌を傷つけることなく顔の皮脂を採取。そこからRNAを抽出して網羅的に解析する「皮脂RNAモニタリング」技術を開発した。
昨年3月には、美容系総合サイトを企画・運営するアイスタイル(東京都港区)と共同で、この技術を核としたビジネスの共創を目指す「RNA共創コンソーシアム」を設立した。今回、同コンソーシアムとしてCEATECに出展。美容や健康などの分野を革新する可能性を秘める「RNAテック」の現在と未来像を提案することにした。
市場には、多種多様な化粧品とその情報があふれている。美容サイトのクチコミ評価を参考にして、化粧品を選ぶ生活者は数多くいる一方で、自分の肌に合うか悩む消費者も少なくない。そこで花王は、個人の体や肌の特徴を表す客観的な指標があれば生活者が商品を選ぶ際に役に立つと考えたという。
花王は、RNAという客観的な生体指標を共通のモノサシとして社会に広げることで、生活者が自分に合う商品やサービスを効率的に選択できる仕組みづくりに貢献したい考えだ。