2025.10.31 三菱電機の4~9月期、売上高、営業利益が過去最高 AI投資活発でFA事業けん引

決算会見で説明する藤本CFO

通期業績を上方修正した通期業績を上方修正した

 三菱電機が31日に発表した2026年3月期第2四半期(4~9月)は、売上高が前年同期比3.4%増の2兆7325億400万円、営業利益が27.0%増の2243億6600万円となり、上期として過去最高を更新した。中国でAI(人工知能)関連の投資が堅調でFAシステムが好調だったほか、政府の予算増などにより防衛事業も拡大。藤本健一郎常務執行役CFO(最高財務責任者)は「中国のAI関連投資は半導体とデータセンター向けの需要が強い」とし、下期も継続するとの見方を示した。

 FAシステムの好調などを受け、通期の売上高を2700億円上方修正。前回の減収予想から2.7%増の5兆6700億円に見通しを変更した。半面、「ネクストステージ支援制度特別措置」として早期希望退職者を募集しており、退職金費用として400億円を業績に織り込んでいる。加えて、為替や米国の関税影響などを加味し、営業利益は前回予想から変更せず、4300億円に据え置いた。

 上期のけん引役を果たした事業の一つはFAシステムだ。4~6月からAI関連投資の需要が続いており、増収増益を達成。減速感なく下期も需要の継続を見通す。

 防衛事業も拡大している。「(政府の)防衛費増がビジネスチャンスになっている」(藤本CFO)とし、30年度で売り上げ6000億円を目標にする。次期戦闘機など中長期的にも成長を加速させる商機があるため、事業の底上げにつなげる考えだ。

 空調・家電は、北米や国内で空調機器が堅調であったほか、欧州の需要も回復傾向にあったことから増収を達成。一方、為替の影響や開発費の増加などが響き営業減益となっている。

 半導体事業については、パワー半導体は低調だったが、通信用光デバイスが好調。「通信用光デバイスは過半以上のマーケットシェアを持っている。製品特性も高いものを供給できており、採算性も良い」(藤本CFO)ことから、減収ながらも営業増益につなげた。光デバイスの売り上げ構成は年間10%程度であるが、今年度は2ポイント以上構成が高くなるという。

 早期希望退職者は、対象となる53歳以上で勤続3年以上の正社員と定年後再雇用者が1万人いる中、「20%が応募したらという前提」(藤本CFO)とする。来年度以降で年間200億円程度のコスト削減につながるとみている。

 通期業績は、売上高が2.7%増の5兆6700億円、営業利益が9.7%増の4300億円、税引前当期純利益は14.3%増の5000億円、当期純利益が14.2%増の3700億円を見通す。売上高と税引前当期純利益、当期純利益は前回予想からそれぞれ上方修正した。