2025.11.13 エッジAI半導体のEdgeCortix、170億円超調達でなお追加検討、次世代チップレット投入前倒し

 インターネット経由でなく末端の機器で動作する人工知能(AI)であるエッジAIに特化した半導体を開発するEdgeCortix(エッジコーティックス、東京都中央区)は、ベンチャーキャピタル(VC)などからの総調達額が1億1000万米ドル(1ドル155円換算で170億5000万円)超に達したと発表した。株式による資金調達と、2024年12月以降の株式希薄化を伴わない大規模な政府助成金を含めた額。同社は「追加の資金調達も検討している」とした。

 同社は米IBMや理化学研究所などに所属した経験を持つAI研究者、技術者Sakyasingha Dasgupta(サキャシンガ・ダスグプタ)氏が19年に創業。データの学習を終えてできあがったエッジAIが実際に能力を発揮する推論段階の処理を高速化するAIアクセラレーター開発に取り組む。

 スタートアップ企業の資金調達段階を示す投資ラウンドでは初期にあたるシリーズAで、既に800万ドルを調達。その後も調達を拡大し、シリーズBは25年8月中旬の第1回クローズ(締め切り)時点で総調達額1億ドルに達し、同年11月初旬の第2回クローズまでにさらに1000万ドル超を積み増したことを明らかにした。

 第2回クローズでは新規投資家としてTDK Ventures、CDIB Cross Border Innovation Fund II LP(CCBI)、Jane Street Global Tradingが参加した。第1回クローズではヤンマーベンチャーズ、Pacific Bays Capital、NTTファイナンス、SiC Power、Aero X Venturesが参加しており、このうちPacific Bays Capitalは第2回クローズにも追加投資した。既存投資家のSBIインベストメントやGlobal Hands-On VC(GHOVC)も継続して支援している。

 EdgeCortixはシリーズBの調達資金を用い、異種の半導体チップを一つのパッケージに収めるチップレット技術による次世代製品「SAKURA-X」のエンジニアリング体制を強化。市場投入時期の前倒しにつなげる。SAKURA-Xは26年後半にサンプル出荷、27年以降に量産を予定する。最終用途はロボティクス、通信、航空宇宙、宇宙、防衛、スマートインフラ、産業オートメーションなどを見込む。