2025.11.18 サトー、銅ペースト印刷方式のRFIDアンテナ技術を開発 高導電性と低コストを両立、2026年実用化へ
透明フィルムへ印刷したRFIDアンテナ(左)と紙へ印刷したRFIDアンテナ(右)
タグやラベルを活用した自動認識技術を手掛けるサトーは、ミクロンサイズの銅粉を用いた銅ペーストによる印刷方式のRFID(無線周波数識別)アンテナ製造技術を開発した。従来主流だった銀やアルミ方式に比べ、純金属に迫る導電性と量産適性、低コスト化を同時に実現した。
RFIDは物流や小売、製造業で普及が進んでおり、その性能と製造コストは市場競争力を左右する重要要素となっている。RFIDアンテナは、ICタグに搭載される電波通信の中核部品で、従来の製造方式では素材ロスの発生や型管理などが課題となり、印刷方式による効率化と環境負荷低減が業界全体のテーマとなっていた。サトーは、独自の焼結工程により酸化銅粒子でも高い結合強度を確保し、紙やPETフィルムなど多様な基材への適用も可能にした。
また、電子デバイス製造に用いられるRoll-to-Roll方式にも対応し、量産ラインへの適応性も高めたという。現在、同社は複数領域で特許出願を進めており、2026年の量産開始をめざす。将来的にはセンサー付きRFIDやスマートラベルなど、製品ラインアップの拡大を視野に入れる。
サトーRFID技術開発部要素開発グループ長の小川孝之氏は「本技術は『印刷方式で電子回路を形成する要素技術』であり、RFIDに限らず幅広い用途に応用できるポテンシャルがある。高い導電特性と低コスト化を両立したことで産業利用の障壁を乗り越えることができた。今後は本技術を基盤とした製品開発を加速する」と話した。
今後は自動認識技術分野での開発をさらに進め、FHE(フレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス)やプリンテッドエレクトロニクス市場での展開を図る。協業企業募集を含めた共創型事業モデルも視野に、次世代エレクトロニクス領域での競争力強化を進める方針。








