2025.11.21 ソフトバンク、7GHz帯の有効性実証 6G向け通信品質と連続性を確認 銀座中心街でフィンランドの通信大手ノキアと共同実施

銀座のビルに基地局を設置し実証実験を行う

銀座エリアを走行し、7GHz帯電波のエリアカバレッジや通信品質の分析に必要な数値を測定する銀座エリアを走行し、7GHz帯電波のエリアカバレッジや通信品質の分析に必要な数値を測定する

実験用車両に搭載している受信機実験用車両に搭載している受信機

 ソフトバンクは、6G向けの周波数として検討が進む7GHz帯(センチメートル波)を活用した屋外実証実験を、フィンランドの通信大手ノキアと協力して6月から実施している。東京都中央区銀座エリアでの実証で、都市部での通信の連続性(エリアカバレッジ)と品質の両立が可能であることを確認した。

 実証は銀座4丁目から8丁目の一部エリアで実施した。高速・大容量通信を実現する「Massive MIMO(マッシブマイモ)」に対応した7GHz帯の実験用基地局3局と、ビル屋上に設置された3.9GHz帯の商用5G基地局を併設。両者の通信品質やエリアカバレッジ、電波伝搬特性を比較した。

 測定にはアンテナやGNSS受信機を搭載した走行車両を使用し、受信電力や通信品質を記録した。大通りなど見通しがよいエリアでは強い受信電力を確認。細い路地など見通し外の環境でも信号受信に成功し、圏外エリアは0.5%以下となった。7GHz帯でも広域な通信エリア構築が可能であることを示した。

 通信品質は信号対雑音比(SINR)で評価した。全ての測定地点で0dB以上、23.5%のエリアで10dB以上を記録。SINR中央値は5.9dBとなり、通信が安定して成立することが確認された。

 さらに、基地局からの距離と受信電力の関係から伝搬損失を分析した。大通り沿いの見通しがよい環境では、3.9GHz帯と7GHz帯の伝搬損失に大きな差は見られず、周囲建物による反射効果が影響していると推測された。一方、路地など見通し外の環境では、7GHz帯の損失が3.9GHz帯より大きくなる傾向が確認された。これは各周波数帯の回折特性や建材による反射特性の違いが要因とみられる。

 今回の結果を踏まえ、同社は7GHz帯での高出力の基地局によるマクロ設置が有効と結論づけた。ソフトバンク先端技術研究所先端無線統括部6G準備室の矢吹渉室長は「7GHz帯は広い周波数幅に対応でき、6Gを効率的に展開するための重要な周波数になる」と述べた。今後は実験範囲を6GHz帯や8GHz帯にも広げ、6Gの早期実装に向けた取り組みを加速させたい考え。